2003.04/27up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(2003.04/26放送原稿)

屋久島

春らしい陽気になって、だいぶ過ごしやすくなってきました。山登りにもとってもいいシーズンになりました。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。きっと家や職場やそして都会にいるのは窮屈で、自然の中へ行きたくなる季節じゃないかなと思います。

先週は屋久島に行って来ました。アルパインツアーサービスという旅行会社の登山ツアーでしたが、私ともう一人、とっても素晴らしい現地ガイドの彼と二人で、お客様12名をご案内してきました。宮之浦岳という九州最高峰の山に登って、更に島を横断する山中2泊3日間。そして行きと帰りに屋久島の宿に泊まる全5日間のツアー登山でした。今日はその登山のお話などを含めて、屋久島のお話などしましょう。

屋久島は九州の南約70キロ、鉄砲伝来とロケットで有名な種子島と隣り合わせの、周囲105キロの島です。沖縄本島、佐渡島、奄美大島、対馬、淡路島についで、日本で6番目に大きな島だそうです。年間の山岳地での降水量は1万ミリを超え、月に35日は雨が降ると言われています。全体に花崗岩の島で、土の部分が浅く、そこに暮らす木々は根を横に伸ばしています。大きな屋久杉だけでなく、オレンジ色のヒメシャラの木もびっくりするくらいに大きな幹が沢山ありました。屋久杉にからみつくヤマグルマの姿も印象的でした。海岸部にある大きな大きなガジュマルの木や、やはり大木にからみつき、しめごろしの木と言われているアコウの木も印象的でした。木々が住む島という印象が強く残りました。

屋久島は、1993年に東北の白神山地と共に、日本での第1号の世界自然遺産に登録されました。つまり手つかずの大自然が色濃く残っている島です。さてその屋久島のなんと言っても最大の特徴は、その島内にある山岳でしょう。標高1935メートル、九州最高峰の宮之浦岳や男性的な山容を見せる永田岳など、1500メートルを越える山が11座、1000メートル以上の山が30以上ある洋上アルプスです。海岸線からは島のほぼ中心部にある宮之浦岳など見ることはできなくて、前衛の総称・前岳が並んでいます。

さて今回の行程ですが、行きは羽田から飛行機に乗り、まず鹿児島空港へ到着。そこでYS-11と言う、プロペラ機に乗り換え、飛行時間は約4〜50分。小さな屋久島空港に到着しました。初日はそれで終わりです。翌日から3日間の登山をし、最終日も飛行機で鹿児島空港を経由して羽田に帰ってきました。今回の登山コースは、1日目に白谷雲水峡から入山し、淀川(ゴウ)から縄文杉を経て新高塚小屋に宿泊。2日目に宮之浦岳(標高1935m)と永田岳(標高1886m)に登り鹿之沢小屋に宿泊。最終日は花山歩道から大川(オオコ)の滝へ下りる2泊3日のコースでした。有名な縄文杉やウイルソン株など、そして宮之浦岳に登るのは勿論、今回はあまり登山者も訪れない花山歩道というコースがとても良かったです。 全体に、北アルプスの様に登山者であふれている様な事はありませんでしたが、それでも花山歩道は素晴らしく、太古の屋久島はこんな雰囲気であったろうなという感じでした。但し縄文杉や宮之浦岳に比べると、登山道の整備も行き届いている訳ではないので、地元のガイドか、登山経験を積んだリーダーと行かれるのがいいかなと思いました。 屋久島の山小屋は全て無人小屋です。つまり管理人が居て夕食・朝食の用意をしてくれる訳ではないので、自分たちで食糧を荷揚げして作ります。寝具もありませんので、シュラフ持参です。そういう意味では宿泊を含む縦走をするのであれば、ある程度の登山経験は必要でしょう。今回はお客様達12名+ガイド2名分の食材とコンロや鍋などの調理器具のほとんどをガイド2名で担ぎ上げましたが、やはり登山のセオリーとして、お客様一人一人にも、しっかりと自分の分の食料の一部も持っていただきました。ツアー登山としては12名と少な目ですが、これも無人の避難小屋宿泊という事で、あまり大勢の団体だと他の登山者に迷惑がかかるからという配慮です。夕食は質素です。メインはフリーズドライという乾燥食の混ぜご飯です。それに副食としてインスタントのおみそ汁等。今回は屋久島で仕入れた"さば節"という食材も持参し、副食として食べていただきました。さば節は屋久島近海で捕れた鯖の薫製です。かつお節の様に堅いモノではなく、しっとりとしていて口当たりは柔らかくとても美味しかったです。小さく切って醤油とマヨネーズであえて食べました。 今回は小屋の登山者も少なく、登山道でもほとんど人に会わないような静かな登山を楽しみましたが、実はシーズン的には少し早かったからだった様で、例えば長期のお休みが取れるゴールデンウイーク等は、小屋も殺人的な込み方になるそうです。また5月に入ればお花も沢山咲き出して、登山者もグッと増える事でしょう。 と言うわけで、今回はとても印象深い屋久島の旅でした。

さて、私のホームページ上に、この番組の過去に放送した原稿を掲載してあります。また、私のお仕事や遊びの山のレポートなども掲載していますので、インター環境をお持ちでしたら、是非一度見てください。
アドレスを言います。 http://www.mt-kawan.com/fm です。ちなみに番組用Eメールアドレスは、fm@mt-kawana.comとなります。こちらへのお便りもお待ちしています。勿論、お葉書やFAXもお待ちしています。
お葉書やFAXの宛先は、 〒238−0008 横須賀市大滝町2−20 FMブルー湘南
FAX は、046−821−3511 川名 匡の山に遊ぶの係りまでよろしく。
皆さんのご意見ご感想、山に関するご質問等々何でもお便りください。

山岳一級遊び人:川名 匡でした ではまた来週。


[追記]
このホームページ上でご覧になっている方達からも上記と同じ"ご意見ご感想、そして今後どのような山話しを聞きたいかのご希望。山に関するご質問等々"をお待ちしています。下記のメールアドレス宛にメールにてお便りください。
ご住所・お名前を書いていただければ、プレゼントも差し上げます。
尚、いただいたお便りは放送で使用させていただく場合があります。匿名希望の方はその様に書き添えてください。
放送で使用しない場合もご返事(回答)はお送りします。
皆さんよろしく。

宛先→ E-Mail : Tadashi@mt-Kawana.com

← 前週の放送

 トップページ 

次週予告 →


E-Mail : Tadashi Kawana [Copyright(c)1999]
槍ヶ岳