すごくいい陽気になりました。ちょっと遅い、家の八重桜が今は盛りと咲いています。
最近、山登りのトレーニングの為、久しぶりに自転車に乗り出しましたが、顔に当たる海風も気持ちがいいです。
さて、自転車で走るのもそうですが、山登りも体力維持や体力作りの為に登っている人も多いと思います。自転車やジョギング、エアロビクスなどのいわゆる有酸素運動はとても身体のためにいいと言われていますが、山登りも、とってもいい有酸素運動の一つです。その運動の中に、自然の美味しい空気を吸えたり、樹木に含まれるフィトンチッドを取り入れたり、渓流の飛沫の中に多く含まれるマイナスイオンをめいっぱい浴びたり、広大に広がる緑の景色を眺めて目を休めたり、色々な意味を含めて、登山は本当に最高の、心身共にリフレッシュするいい運動じゃ無いかなと思います。ただ最近は花粉症とかいう、やっかいなモノが現れてきて、そのため自然から遠ざかってしまう人も多いかと思いますが、昔々は花粉症なんて病気は無かったはずで、これも自然界をないがしろにする近頃の人間界への、自然からの抵抗運動だという人もいます。 さて、
今年も恒例の丹沢ボッカ駅伝という競技大会が6月1日、丹沢の大倉尾根で開催されます。数十キロの荷物を担いで、しかも山に登るスピードを競うという、聞いただけで疲れてしまうような競技ですが、日本全国にもここにしかない珍しい大会です。今年の大会にも私たちの山岳会がエントリーしていまして、そろそろ現地でのトレーニングも開始します。ちなみに、過去の大会記録を見ると、通常大倉尾根という登山コースは3〜4時間ほどかけて登る山道で、早い人でも2時間以上は確実かかりますが、なんと最高タイムは20キロを担いだチームで1時間4分55秒です。これはもう驚異的な早さで、どの位早いかというと、3年前に開催された神奈川夢国体での山岳縦走競技がやはりこの同じ大倉尾根の同じコースで行われたのですが、その時の男子1位のタイムが59分06秒でして、ではこのボッカ駅伝の最高タイムの1時間4分55秒と言うのが国体競技ではどの辺りかと言うと、ちょうど20位に位置します。かたや国体競技という、日本全国の各県代表選手が100名ほど集まった、しかも殆ど荷物を持たない空身での走りと、かたや20キロの荷物を背中に担いだ走りですので、その中でも20位に入ってしまうスピードと言うのは本当に驚異的です。会場は、小田急・渋沢駅からバスで15分、秦野市の大倉と言う場所にある、"県立秦野戸川公園"がスタートです。皆さんも是非応援してください。よろしく。もし大会に出場してみたいとか、興味がある人は、この番組宛に連絡をいただければ、募集要項をお送りします。また、当日はコースにあたる大倉尾根は、一般登山者、大会役員、そして走り抜ける選手達で一杯になると思いますので、静かな山登りをしたい登山者の方は、別のコースを選ばれた方が無難です。よろしく。 ところで、ボッカと言えば、私自身はあまりいい想い出がありません。ボッカとは歩く荷物と書き"歩荷"と読みますが、読んで字のごとく、あまりに沢山の荷物を担いでいるので、後ろから見ると荷物に足がはえて歩いている様に見えることから歩荷という名前がつきました。
今でこそ少なくなりましたが、昔はよく山に登ると大学の山岳部や社会人山岳会でのボッカ訓練に遭遇したものです。そんな現場を目撃したり、また自分自身がボッカ訓練に参加したりすると、本当に山登りなんか止めようかと思ったものです。しかし後々良く考えてみれば、荷物を分け合ったり、励まし合ったりした時の仲間との連帯感や、結果として足腰が強くなって、その後の山登りに体力的だけでなく精神的な余裕が生まれたりと、あれはあれでいい訓練だったのかなと、最近ボッカ訓練などをやらなくなってから、つくづく思うようになりました。訓練ではなく、私自身の山でのボッカというか、重い荷物を担いだ経験ですが、遠い遠い20年も前の話になります。
当時、自分と近くの仲間達で、丹沢などの簡単な山登りをしていて、やっぱりすごい山に行くには山岳会に入るしかないなと決断しまして、横須賀のとある山岳会の門をたたきました。それまでは簡単なテント山行をしていた程度でしたので、担いだ経験のある荷物はせいぜいが20キロ程度でしたが、入会した山岳会の初合宿に参加する事になり、受け取った共同装備の多さに愕然となりました。石油の5リットル缶があるわ、ススで黒々とした大鍋はあるわ。ペミカンという重い食糧はあるわで、自宅の体重計に乗せたらなんと45キロでした。そんな荷物を入れる大きなザック等も持っているわけはなく。先輩に借りた大型の、今は無きキスリングにやっとの思いで全てを詰め込み、さて出発と思ったら体が上がらない状態でした。しかも、お借りしたキスリングが古かったのか、駅の階段を大汗かいて上っていた時に、荷物の重さでショルダー部分がブチッと切れてしまって、当時の登山装備には必ずあった針金とペンチで急遽修理をして、やっとの思いで新宿駅にたどり着いたものでした。もう登り始める前からヘトヘトでした。その時は、正月休みを利用した冬の合宿で、北アルプスの五龍岳という山に登ったのですが、遠見スキー場のリフトにその重いキスリングを乗せて、当時シングルのリフトだったので、大きなキスリングだけでイスが一杯になってしまって、自分はそのキスリングにつかまって、いつ落ちるかとビクビクしながら乗ったものです。結局、思ってた通りに私がばてて動けなくなり、結局予定していた場所より手前にテントを張る事になってしまい、先輩達にもだいぶ迷惑をかけました。ちょうどドカ雪がシンシンと降っていて、ばてた私を置いて先輩達がテントを張る場所を探しに行ったほんの10分ほどの間に、私はもう疲れて意識がなくなってしまい、帰ってきた先輩に揺り起こされた時は完全に雪だるま状態だったそうです。その後、現在までに40キロ程度の荷物は何度も担ぎ、仕事場では観測に使用する37キロある電池を二つですから、約74キロほどを担いで山を登ったりもしましたが、後にも先にも、あの一番最初に重たい荷物を担いだ記憶が一番鮮明に残っています。
さて今週末はガイドのお仕事で屋久島へ行きます。三日間かけて九州最高峰の宮之浦岳を縦走してきます。 お花のシーズンには少し早い様ですが、季節的にはちょうどいい季候になってきたところです。帰りましたら、次回は屋久島のお話でもしましょう。
山岳一級遊び人:川名 匡でした ではまた来週。
[追記]
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