2003.04/27up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(2003.04/05放送原稿)

雪解けに春を知る

4月になりました。ポカポカとした日差しがすがすがしい季節です。桜もちょうど満開状態で、今週末のお花見は楽しいでしょう。
楽しいでしょうというのは、今週末も山に入っているからで、山の上はまだまだ雪が沢山残っている状態ですから、山桜が咲き出すのはまただいぶ先の話しです。

山の歌に"ぼうがつる賛歌"という歌がありますが、その出だしの歌詞に、
下界の人が皆、春の花に酔っている時、山男は残雪のまだ沢山残る山に入る…というのがありますが、まさしく山には下界と違った季節感が存在します。そんな感覚の違いなど、今日はお話しましょう。 と言うわけで、もう少し"ぼうがつる賛歌"をちゃんと歌いましょう。

"人みな花に酔うときも 残雪恋し 山に入り 涙をながす山男 雪解の水に 春を知る "

とまあこんな感じなのですが、

涙を流すかどうかは別にして、この歌詞にあるように、山での春の訪れは雪解けです。真冬の山に登ると雪は沢山積もり、沢も滝も凍り付いていて、夏とはまるで別世界です。その真っ白な山も3月を過ぎると、日に日に暖かい日が増えだして、やがて雪が溶け出します。本日も実はそこに居る予定ですが、八ヶ岳の赤岳鉱泉という山小屋があります。いつもなら美味しい水を汲める水場が、冬の間は凍り付いていて飲めませんが、そろそろ溶けて流れ出す頃でしょう。まさしく雪解けの水に春を知る訳です。 山の春の訪れは、晴天が増えて気温も高くなった為に雪が堅く締まりだしたとか、それまで凍り付いていて使えなかった水場の水が流れ出したとか、フリースを脱いでも行動できる様になったとか、つまりは微妙な変化が徐々に起こって分かる春です。下界のような劇的な変化はありませんが、それでも徐々に春模様になる山の変わり様は、敏感な人にしか分からない様な少しずつの変化が日に日に続きます。

一般的に山男というか、山に登る人たちは、物事にこだわらない豪傑とか、おおざっぱな人種に見られがちですが、実はとても敏感で、良い意味ではナイーブな感情の持ち主が多くて、悪く言うと小心者ばかりです。だからこそ小さな変化にも良く気が付き、危険を回避できたりもする訳です。そういう意味では、ナイーブでデリケートな山男が、雪解けの春に感動して涙を流してしまうというのもうなずけるかもしれません。結局お話が"ぼうがつる賛歌"に戻ってしまいましたが、この歌は、私も好きな歌です。

さて、九州にお住まいのFさんという方から、インターネットのEメールを通じて、番組宛にこんなお手紙をいただきました。

山に遊ぶをいつも見ています。九州の博多在住なので放送が聴けないのが残念です。川名さんはどんなお声をしているのでしょうか?とっても興味があります。山登りはした事がありませんが、とっても気持ちがいいのでしょうね。ひとつ質問があります。山ではどんな食べ物を食べるのですか?真冬は凍ったりしませんか?とっても寒い場所でおにぎりやサンドイッチ食べたりしますか?

というお便りでした。メールどうもありがとうございました。
私の声は聞かない方が無難かもしれません。もしこちらに来るような機会がありましたら、是非放送を聞いてみてください。但しそれ以降、お便りくれなくなったりしないようにお願いします。 ご質問ですが、この質問は多分お弁当の事かな?と思います。まず、山でお昼休みは取りません。一日山を登る様な行程では、お昼の決められた時間に沢山休むよりも、1時間おき程度の5分や10分の小休止毎に、行動食というモノを食べます。暖かい季節でしたらおにぎりも食べますが、サンドイッチはその中身にも寄りますが傷みやすいのであまり山では食べません。厳冬期はおにぎりも凍る事があります。但しそれはザックの外側に入れてしまった時とかで、例えばザックの背中側やふところにしまっておけば大丈夫です。それでもお米のご飯は食べた後、体の熱を奪うというか、冷えるのであまり冬場は食べません。冬の行動食は、スコッチケーキの様なしっとりとしたケーキ類やチープで食べられる高カロリーなゼリー飲料。チョコレートや飴類等の低温下でも大丈夫なモノが主になります。あと、行動食の基本は、夏冬変わらずですが、まず立ったままでも食べられる様な物。パサ付かず湿り気があるのどごしの良い物。そして何よりも本人が好きな物となります。 どうですか?分かりましたでしょうか?

さて、九州のFさんも見てくれている様ですが、この放送の原稿を私のホームページに毎回アップロードしています。もしよろしかったら、放送をお聞きの皆さんも見てください。
アドレスは、 httpの後、www.mt-kawana.com/fm です。ちなみにこの番組用Eメールアドレスは、fm@mt-kawana.com となります。こちらへのお便りもお待ちしています。 勿論、お葉書やFAXもお待ちしています。

こちらの宛先は、〒238−0008 横須賀市大滝町2−20 FMブルー湘南
FAX は、046−821−3511 川名 匡の山に遊ぶの係りまでよろしく。

皆さんのご意見ご感想、そして今後どのような山話しを聞きたいかのご希望。山に関するご質問等々をお寄せ下さい。お便りを放送でご紹介させていただいた方には、私が持ち帰った山のおみやげ品などをプレゼントします。ちなみに九州のFさんにはですね、先日のキリマンジャロの時にタンザニアで手に入れたイボイノシシの木彫りをお送りします。楽しみにお待ちください。

今日はですね、冒頭でお話しした、ぼうがつる賛歌を聴きながらお別れしましょう。

山が大好きな"山岳一級遊び人" 川名 匡でした。 ではまた来週。

[追記]
このホームページ上でご覧になっている方達からも上記と同じ"ご意見ご感想、そして今後どのような山話しを聞きたいかのご希望。山に関するご質問等々"をお待ちしています。下記のメールアドレス宛にメールにてお便りください。
ご住所・お名前を書いていただければ、プレゼントも差し上げます。
尚、いただいたお便りは放送で使用させていただく場合があります。匿名希望の方はその様に書き添えてください。
放送で使用しない場合もご返事(回答)はお送りします。
皆さんよろしく。

宛先→ E-Mail : Tadashi@mt-Kawana.com

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