もう3月も過ぎて庭の早咲きの桜も咲き出して、一気に春の雰囲気になってきました。
まだまだ寒い日もありますが、日に日に暖かくなっているのが分かります。
さて2月後半は、キリマンジャロに登っていました。
日本に帰って来た日は、その寒さには震えましたが、それでもやはり春ですね。日だまりは、その春独特のポカポカとした暖かさに包まれています。四季のある日本に生まれて良かったなと思っています。 さて今日は、キリマンジャロのお話をしましょう。
キリマンジャロと言う山、皆さん山登りをしない方でも、一度は耳にしたことがあるでしょう。アフリカ大陸の最高峰の山です。山容はちょうど富士山をさらに平たくしたような形です。カルデラ式火山の典型的な形をしています。そのお鉢の部分。つまり山頂火口の部分をぐるりを囲む様に峰がいくつかあり、その一つが最高峰とされているウフルピーク。標高は5895mあります。今回はその最高峰に登ってきました。山頂到達時刻は、2月24日の現地時間午前8時10分。日本時間はプラス6時間ですので、午後の14時10分となります。皆さんはその時、いったい何をされていたか覚えていますか?
時間というのは面白く、その瞬間に世界中の人が何億居ようと、それぞれが所有した時間があり、一億の人がいれば一億通りの時間が進んでいます。今回、私が山登りに喘いでいた同じ時刻に、机に向かって仕事や勉強をしていた人がいたであろうし、また外を散歩していた人もいたでしょう。またぐっすりと熟睡していた人もいたことでしょう。ありとあらゆる人たちが同じ時間を共有していて、そしてそれぞれが独自の時間空間を進んでいます。なんか変なこと。というか難しいことを言っちゃっていますが、苦しい山登りをしているその瞬間とは、人が無我の状態に近くなっている事があります。ただひたすら登り続ける。そして登る。更に登る。まるで山頂という到達点がある事すら忘れている様にただただ登り続ける時、人は時間の固まりの中にいる事を自覚します。そんな瞬間を感じられるのが特に高所の山々です。高度障害の影響でなのでしょうが、ふわふわとした中で、ただただ山頂を目指すというより、ただただ上に向かって登り続ける瞬間瞬間が生きているあかしにもなります。そんな感覚を久しぶりに味合わせてくれる山がキリマンジャロでした。
何となく観念的なお話になってしまったので、もう少し具体的なお話もしましょう。
キリマンジャロはタンザニアという国にあります。アフリカ大陸のほぼ中央に位置します。今回は、タンザニアのアルーシャという都市の近くにある、キリマンジャロ国際空港というところにまず入りました。そこから登山口まで移動し、登山期間は全6日間。毎日毎日、ひたすらに高度を稼いで、そして最後は高所の影響を体全体で感じながらの登頂。そして下山。なかなかハードな登山でした。初めて見る南十字星や、山頂部分の氷河。特にこの山頂氷河は、年々ですが地球の温暖化の影響で小さくなっているそうです。このままではいずれ消えて無くなってしまうそうですので、ひょっとしたら今回が見納めになってしまったかもしれません。さてそんな山頂で、今回特に印象的であったのは、山頂から眺めたどこまでも果てしなく続くアフリカ大陸です。イメージ的にですが、私はアフリカ大陸はのっぺりとした起伏のない、限りなくジャングルが続く大陸というイメージでしたが、そこにあった大地は、そこかしこに高い山もあれば大きな湖も見え、また土色をした大平原があればイメージ通りの緑の濃い平原も続くというような、とても変化に富んだ大陸でした。 キリマンジャロ登山の特徴は、現地のガイドによってその登山者の全てが掌握されているという事でしょうか。キリマンジャロの登ろうとする時、まず現地のガイドと契約をしなくては入山もできません。全行程ガイドが着き、一緒に登頂の感激も味わいます。途中にある山小屋も皆公的な施設であり、しっかりと統率が取られています。タンザニアの人たちが、この山を限りなく永遠に大事にして行こうという趣旨が伺えます。山的には、日本の富士山と似ていて、登山道などもそっくりですが、登山者の受け入れという面では格段の差を感じました。日本の富士山も是非見習ってほしいものです。
ところで、アフリカは遠いですね。行きは時差を逆戻りしていくので、夜更かしの私には比較的耐えられるモノでした。また今回はヨーロッパ経由で、アムステルダムに一泊した関係で、だいぶ楽には行けたのですが、帰りは、時間の関係でタンザニアからアムステルダムの間。そしてアムステルダムから日本への間。二回にわたって機中泊でしたので、日本に帰り着いた時はドッと疲れが吹き出ました。 それでも我が家に帰り着いてから、アフリカで買ってきたコーヒー豆をひいて、この香ばしい香りを嗅ぎながら心なしか日本のコーヒーよりも黒さが増した湯気の立つ液体を眺め、そして味わうと、またあの、赤道直下で雪をかぶったキリマンジャロの姿が脳裏に浮かんできます。"ジャンボ"と言うのはあちらの挨拶ですが、ついついジャンボと口ずさんでしまいます。またいつか行きたいと思っています。
さて、と言うわけで山のお話、これからも続くのですが、皆さんのご意見ご感想、そして今後どのような山話しを聞きたいかのご希望。山に関するご質問等々をお寄せ下さい。お便りを放送でご紹介させていただいた方には、私が持ち帰った山のおみやげ品などをプレゼントします。
宛先です。
〒238−0008 横須賀市大滝町2−20 FMブルー湘南 FAX は、046−821−3511
川名 匡の山に遊ぶの係りまでよろしく。
あなたの住所・氏名も忘れずに書いてください。
雪が大好きな"山岳一級遊び人" 川名 匡でした。 ちなみに桜も好きです。ではまた来週。
[追記]
このホームページ上でご覧になっている方達からも上記と同じ"ご意見ご感想、そして今後どのような山話しを聞きたいかのご希望。山に関するご質問等々"をお待ちしています。下記のメールアドレス宛にメールにてお便りください。ご住所・お名前を書いていただければ、プレゼントも差し上げます。
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