一年中で一番寒くて、一年中で一番雪がふる2月。私は雪が大好きで、雪で遊ぶのも大好きです。だから一年中で2月が一番好きな月? のはずなのですが、やはり寒いのはちょっときついかな。だから外で遊びたいのだけど、ぶるぶると体が震えてしまうというジレンマの月が2月です。今日はその2月の雪の中で遊ぶお話をしましょう。
ほんのちょっと前までは、2月と言えば一番厳しい時期ですから、一年を通して活動している登山者もあまり山に入りませんでした。それは1月よりも多くて、更に3月以降の締まった雪でない2月の雪はとてもふかふかで大量で歩くにはとてもやっかいな存在だからです。さてところが、そんな登山者にとって厳しい2月の雪も、最近は積極的に遊ぶ人が増えてきました。それはスノーシューという便利な道具に脚光があびだしたからでしょう。スノーシューは、日本に昔からある和かんじきと同じように、雪の上を歩く道具です。しかし日本にある様な急峻な山に登る時には、やはり和かんじきの方が登りやすく、また大きくがさばるスノーシューよりも携帯性に増した和かんじきを登山者は好んで使っていました。しかし最近になってちょっと様子が変わってきた感じが有ります。と言うのは、登山といえば山頂を目指して登るという固定観念ではなく、ただただ山の中に入って雪と遊んだり、景色を眺めたり等々、必ずしも"登ること"が目的でなく雪の山に入る人が増えて来たからです。つまり積極的に雪と遊ぶのであって、その為にはフカフカの沢山の雪がある2月がベストという訳です。そしてただ雪原をあるくだけでしたら、小さい和かんじきよりも、より大きくて雪に対して抵抗があり、フカフカの雪でも沈みにくいスノーシューがベストパートナーとなる訳です。実際、平らな雪原をスノーシューを使って歩いてみると、その便利さや楽しさが分かります。
そもそも道という存在が無い雪原は、決められた登山道を線路の上を走る電車の様に歩かされる様な感覚ではなくて、行きたい場所へ好きなルートを伝って無軌道に移動できます。この楽しさがスノーハイキングの醍醐味でしょう。 山奥の温泉旅館にでも泊まり、夜は温泉で楽しみ、日中は近くの雪原にスノーシューで遊びに行く。せかせかと汗を流して困難な山に登る訳ではなくて、ただただのんびりと一日をゆっくりと使い日本の雪を楽しむ。そんな遊び人が最近は増えてきました。
さて一年中で2月が一番雪が降ると言っても、それはやはり雪国での話し。横須賀の様な暖かいところでは雪が降ったりましてや積もったりする言自体が珍しい言です。ですから一端雪が積もったりすると滑ってけがをしたりする事も多いです。と言うわけで、あまり雪になじみのない方への雪対策のお話などもしましょう。 雪上歩行。つまり雪の上を歩く時の注意ですが、たまに横須賀辺りで雪が積もると、一寸したことで滑って転び怪我をする人のニュースが流れます。雪国の人から見れば何でもない雪道も、雪がほとんど積もらない場所に暮らしている人達にとっては、ほんの数センチ積もっただけでもパニックです。特に舗装された道に積もった雪はまた一段と滑りやすくて、なれていない人は苦労するでしょう。
雪上歩行の基本は、まず最初にゆっくり落ち着いて歩くこと。歩幅はいつもよりも小さめにとって、足の底はフラットに置きます。フラットに置くという意味は、足の裏、靴の裏全体で踏むと言うことです。履いて出る靴も選ばなくてはいけません。底が平らで滑りやすい物や、かかとの高い靴は歩きにくいだけでなくとても危険です。一番良いのはシンプルな長靴ですが、ちょっとかっこわるくて履けないかもしれませんね。でも長靴が一番です。あと、手をポケットに突っ込んだまま歩いたりしていると、いざ滑った時のリカバリーができません。もっともお年寄りなどの骨が弱っている方が滑って転んで手で支えようとして手首を骨折する様な怪我が実は一番多いそうですから、自信の無い方は杖などをしっかり持って外出しましょう。若者も、ちゃんと手袋をして、手を出して歩きましょう。
積もった雪ですが、特に関東に積もった雪はすぐに溶けだしてきて次の夜に気温が下がれば雪ではなく氷になってしまいます。氷になってしまうと、一般家庭にある様な道具ではなかなか除雪ができません。家の玄関周りや良く歩く歩道などは、できれば積もってまだ柔らかいうちに、ある程度除雪をしておいた方が無難です。まだ柔らかい降ったばかりの雪でしたら、たとえば本格的なスコップなど無くても、段ボールなどを使ってもできます。と言っても、横須賀辺りで除雪が必要な位に雪が積もったら、近所の子供達が黙ってはいないでしょう。大人達がかたづけるまでもなく、きれいに遊び道具として使い切ってくれるでしょう。
雪国の山で降る雪と、横須賀などの暖かい場所にふる雪では同じ雪でも実はだいぶ違いがあります。その一番の違いは含水率。つまり含まれる水分の違いでしょう。暖かいところでの雪はいわゆる水っぽい雪ですので、傘をささずに歩いていると直ぐにびっしょりに濡れてしまいます。ですから、雪国よりもより完璧な防水対策が必要になります。よく、雪だからって傘もささずに歩いている人がいますが、これは間違いです。先も見えなくなる位に強くふる雪は、本降りの雨と代わり有りません。 太平洋側でも年に何回かは雪が降りますし、横須賀でも積もる年が有ります。そんな時はしっかりと雪対策をしてください。雪国の様に、日頃から対策が取られていない場所こそ注意が必要です。
と言うわけで、今日は山の雪で遊ぶお話と、横須賀などの暖かいところでの雪対策のお話でした。
雪が大好きな"山岳一級遊び人" 川名 匡でした。 ではまた来週。
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