2003.02/14up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(2003.02/08放送原稿)

山岳映画

寒さも2月になるとピークです。この2月さえ乗り切れば後はポカポカと暖かい春の日差しが待っています。
と言うような事を考えて、何とか気持ちだけでも暖かくしたいなぁと思ったりはするのですが、どうも凡人の私には心頭滅却する事はできない様で、寒さが身にしみる今日この頃です。 しかしこんなに寒い冬なのに、結局下界よりもっともっと寒い山の中へ行って遊ぼうなんて考えるのですから、私はちょっと変?なのかもしれません。そろそろ無理が利く歳でもなくなりつつありますので、寒い寒い冬は暖かいこたつにでも入って、自宅で山のビデオでも見ている方がいいのかもしれません。 私は、山に登るようなどちらかといえばアクティブな遊びも好きですが、家にこもってジッとして何もしない。というのも結構好きです。パソコンやインターネットなどはそのいい例で、私のパソコン部屋などは、部屋といっても、約2畳程度の広さのスペースですが、ありとあらゆるグッヅがひしめき合っていて、ものぐさを象徴する様に手を伸ばせば直ぐに何でも取れる状態です。まるで宇宙船のコックピットの様な状態で、結構これが落ち着けます。

そんな場所で、最近は良くDVDを見ます。 私は元々映画が好きで、昔は良く映画館に通いました。しかし最近は自宅で手軽に楽しめます。DVDの普及はめざましくて、最近の映画で見られない映画は無いというほど沢山の映画がDVD化されています。しかし、まだまだDVDになっていない昔の映画もたくさんあります。今日はそんなDVD化されていない、いくつかの山岳映画のお話もしましょう。

まずなんといっても早くDVD化してもらいたいのは、1995年作品の「マークスの山」です。高村薫(かおる)という私の好きな小説家の原作で、昔の学生運動時代のある事件と、それに交差する今の猟奇殺人を追う中井貴一扮する刑事のドラマですが、南アルプスの北岳が重要な舞台となります。この映画は公開当時、映画館でも見ましたし、その後その撮影に関わったある方に、個人的に撮った撮影風景の秘蔵ビデオなども見せてもらえるというラッキーな事もあって、私としては印象深い一押し山岳映画なのですが、なぜか今までDVD化されていません。最近、分厚かった原作本の文庫が発売され、結構売れている様ですので、ひょっとしたらこの勢いでDVD化されるかもしれません。ちょっと期待しているのですが、松竹の関係者の方、よろしくお願いします。本編とは全く関係ありませんが、役者としては素人の、本物の山やさん達、つまりエキストラとして参加した地元山岳会などの山岳関係者の人たち扮する機動隊員達が、北岳山頂で犯人を包囲する姿ははっきり言って笑えます。皆さんお疲れさまでした。

もう一つのDVD化希望は、1978年作品の「聖職の碑」です。山岳小説では神様的存在の新田次郎原作で、出演者も鶴田浩二、岩下志麻、北大路欣也等々出ていますが、なんといっても印象に残っているのは、教師役の三浦友和です。木曽駒ヶ岳への学校登山で台風に遭難した生徒たちと殉職した教師の実話です。大正時代の登山と当時の学校の様子も興味深く見られました。 この他にも、厳冬の前穂高岳を舞台にした有名な山岳小説である1958年大映作品の「氷壁」とか、石原裕次郎主演で1968年作品の「黒部の太陽」と、それに続く1970年の「富士山頂」等々、まだまだ自宅で見たい山岳映画達は沢山ありますが、いったいそれらはいつ見られるのでしょうかね。特にこの氷壁・黒部の太陽・富士山頂に関しては、DVDどころかビデオにもなっていなくてテレビで放送した記憶もありません。とっても楽しみというか、待ち望んでいるのですが、早くDVD化よろしくお願いします。

と、日本映画の話しが続きましたが、まあこんな事を思い出したのはいったいなぜ?というと、先日、DVDで「聖山」という映画を見ました。なんと1926年(大正15年)に封切られたドイツ映画です。元々サイレント映画ですが、DVDには後から音楽と効果音が入っていて、勿論ですが白黒です。この映画は、アーノルド・ファンクという山岳映画の先駆者が監督・原作・脚本を手がけた、私の知る限りですが、世界で最初の本格山岳長編映画です。今まで見たことが無くて、DVDになったとのことで早速手に入れて見てみました。80年も前の映画で、実は最初はちょっと斜に構えて見ていたのですが、これが見ている内にはまってしまい、ラストでは手に汗握る状態でした。なかなか面白くて、よかったです。思わずファンクの残り2作品、「死の銀嶺」と「モンブランの嵐」も手に入れました。 というわけで、外国の80年も前の映画がDVDになるのだから、日本の映画ができない訳はありません。是非是非頑張ってDVD化していただきたいものです。

さて、冬の長い夜は自宅で暖まりながら、山が舞台の山岳映画でも見て、山に入った気分になって楽しもうというお話でした。が、結局また今日もこれから、実際の本物の山に行きます。今日これから行くのは富士山です。山頂までは登りませんが、雪上技術のトレーニング目的で、5合目辺りまで登る予定です。
きっときっと寒い事でしょう。気合いを入れて行って来ます。

また帰りましたらご報告しましょう。

山が大好きな"山岳一級遊び人" 川名 匡でした。 でまた来週


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