2003.01/31up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(2003.01/25放送原稿)

山岳ガイド


寒い毎日が続いていますが、皆さん風邪などひいていないでしょうか?
先日は谷川岳の一ノ倉沢まで山スキーで出かけてきました。
とても寒々とした風景でしたが、体が引きつけられる様な存在感がある景色でもありました。
暖かいコーヒーなどを飲みながら、のんびりと景色を見ると言うよりも、その景色の中に居る自分を感じながら過ごすのがとても気持ちがいいです。
とっても良かったです。

さて、私は現在、山岳ガイドという仕事をしています。
まだまだ一般的ではないお仕事ですが、大好きな山に関わっていられること。そして山の魅力を一人でも多くの人たちに味わってもらえること。等々、とても楽しい仕事です。今日はその山岳ガイドって何?かなというお話をさせてもらいましょう。

ガイド登山とは、簡単に言えばお金を頂いてお客さんを山にお連れする仕事ですが、一口にガイド登山と言っても最近は色々な種類があります。ただし大きく分けて、

★人を山に連れていく事に精通した山屋つまり専門職としてのプロの山岳ガイドが連れていく個人ガイド登山。
★一般の旅行代理店などが一般旅行の延長線上で山も行く、ツアー登山。 という二つのパターンに分けられます。

私がやっているのは、先の個人ガイドです。ツアー登山との一番大きな違いは、基本的に少人数で山に行く事です。一対一での事も多く、つまりマンツーマンでお客様をサポートします。ツアー登山が、決められた日程の中で、決められたコースを歩くのに対して、あくまでその方個人のガイドですので、全てがツアーのオプションコースの様に、最初から決められたコースをトレースするのではなくて、行きたい場所に行ける日程で登る事になります。またツアー登山が、大人数で行く登山の宿命で、一番体力や技術力の弱い参加者の方にあわせての行動となるものが、個人の場合はその方の体力・技術にあわせられること。つまり体力の無い方はそれなりに、ツアー登山での他の参加者への遠慮もなくゆっくりとしたペースで歩けますし、逆に体力・技術共に充実している、ツアー登山では物足りない様な方も、自分のペースで行動できる訳です。そしてガイド登山の大きな特徴として、より高度なルート、つまり冬山や岩登りなどに挑戦できることも上げられます。私が山登りを始めた頃は、もし岩登りがしたかったり、冬山に登りたかったら、大学の山岳部に入部するか、社会人山岳会に入会するしか手はありませんでした。しかし今では、色々な方向から色々な山に挑戦する事ができます。 70代で初めて冬山に挑戦する方もいますし、昔の夢を実現している方もいます。その点では、とてもいい時代になったという事でしょう。 と言うことで良いことずくめの山岳ガイドですが、あまりほめすぎると単なる宣伝になってしまいますので、ここで一つガイドやツアー登山に参加する方への注意事項をお話しましょう。 私も個人ガイドだけでなく、旅行会社のツアーリーダーも勤めさせてもらっていますが、サポートしてもらえると言って、あまり背伸びをした山には行かない事。いくらお連れすると言っても、実際に自分の足を使って登るわけで、おんぶする訳にもいきません。ですからご自分でもしっかりと勉強をして、行きたい山が行ける山かを検討してください。ガイドも相談に応じてくれるはずです。本人がちょっと大変かなと思っている様な山に関して、全然平気ですよとか、ただただ楽ですよと言うだけのガイドでしたら、それはあまりエキスパートとは言えません。勿論ツアー登山でも同じですが、納得のいくまで質問をして答えてもらいましょう。

もうひとつ、ある意味でスゴク重要な問題ですが、自分の希望をかなえてくれて好きなように登らせてくれるガイドが、一概にいいガイドとは言えないという事です。例えばとっても天気が悪くて危険な時、お客様はとっても登りたい、高いガイド料金も払っているし、この山はずっと前からの夢だから、無理をしても絶対に登りたいと思ったとします。さてここに二人のガイドがいます。一人は危ないから止めましょうと言う。もう一人は、では私がサポートしますからガンバって言ってみましょうと言う。そしてガンバって登ったガイドが無事に下山したとします。当然ですがお客様の評価は、悪天でも登らせたガイドの方が上になります。次回もあの人と是非一緒にという事になるでしょう。しかししかし、あなたはどちらのガイドがいいと思いますか?
山登りは、他の遊びに比べても明らかに危険が伴う率の高い遊びの一つです。だからこそ、ガイドはまずお客様の要望に応えるよりも、安全に登っていただいて、そして無事に下山させなくてはいけません。そういう意識も持って、是非山岳ガイドをお供にしてもらいたいなぁと思います。

さて、と言うわけで山のお話、これからも続くのですが、皆さんのご意見ご感想、そして今後どのような山話しを聞きたいかのご希望。山に関するご質問等々をお寄せ下さい。お便りを放送でご紹介させていただいた方には、私が持ち帰った山のおみやげ品などをプレゼントします。
宛先です。

〒238−0008 横須賀市大滝町2−20 FMブルー湘南
FAX は、046−821−3511 川名 匡の山に遊ぶの係りまでよろしく。
あなたの住所・氏名も忘れずに書いてください。

雪をかぶったまっ白い山が大好きな"山岳一級遊び人" 川名 匡でした。 でまた来週



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