2003.01/21up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(2003.01/18放送原稿)

夢がかなう時
(川名の自己紹介)

先日、今年初めての山登りに行って来ました。登ってきたのは信州の八ヶ岳です。とってもいいお天気が続いて、気持ちのいい山でした。やっぱり山は青空が似合います。年のはじめとしてはさい先の良いスタートで、今年一年、ずっと続いてほしいものです。

さて、この山に遊ぶも、早いモノでもう放送が始まって5年がたちました。当初はまず半年程度やってみようという事で始まった番組でしたが、そんなに話すことあるかなぁ…と心配でもありました。でも毎回飽きずに山にも登っていることもあり、ネタもつきず、こうしてお話させていただいてます。昔から、この放送を聞いていただいている方もいると思いますが、中には最近聞き出したという方もいるかもしれません。この川名匡とはいったい何者だ?という方もいらっしゃるでしょう。今日は年のはじめという事で、久しぶりに私、川名の自己紹介、プロフィールなどをお話する事にしましょう。

まず名前です。かわなただしと言います。花も恥じらう40代のおじさんです。生まれも育ちも横須賀で、ご幼少の頃は安浦町に住んでいました。私がまだ子供の頃は、安浦には安浦港という港がありました。漁船だけが集う小さな港でしたが、港の入口を囲う大きなブロックを並べたような波よけとカマボコ上の波よけがある岸壁でよく遊んだモノです。釣りもしました。もっとも一度も魚が釣れた事はありませんでした。猿島の沖を走る大きな船をただただ見ているのが好きでした。特に、猿島の陰に隠れた船がまた反対側から現れ出す瞬間が好きで、ワクワクしながら眺めていたモノです。倍率の高い天体望遠鏡で眺めていると船の名前まで分かる事があります。何ヶ月も前に見た船と同じ名前の船が現れた時など、あの船はどこまで行ってどこから帰ってきたのだろうなんて考えて、想像が想像を膨らませ、まだ見ぬ異国に胸を躍らせたりもしていました。台風の時は、岸壁に放置されたボロボロの自動車に入り込み、東京湾を向いたフロントガラスに高波が砕け散るのを運転席のハンドルにしがみつき興奮して眺めた事もありました。 と言うわけで、子供時代を海、というか東京湾の岸壁で過ごしたので、将来は船乗りにでもなって外国に行くかな…と漠然と考えてもいました。旅、にもあこがれがあり、知らない物、初めて見る物や出会う人たちやその他何でもかんでも知りたいという様な好奇心もありました。中学生の頃から写真が好きで、記録する事が趣味といえば趣味でした。と言うわけで十代の頃は山という存在は私の頭の中にありませんでした。

山との出会いは富士山です。一般的な日本人が誰でも考える、富士登山。私も二十歳の時に挑戦し、かろうじてボロボロになりながら山頂を極めましたが、感動というほど大げさではなく、"苦しいあとには福がある"程度の喜びを、高山病でフラフラになりながらジワジワと感じつつ下山。その後、いつの間にか山の虜になりました。 20代後半に地元横須賀の山岳会に入会し、それまで個人的に行っていた山々のグレード・難易度を一気に上げるルート、つまり岩登りや冬山登山などを始めるようになりました。世界がそれまでの十倍広がりました。厳しさもありましたが、それよりも楽しさが勝りました。そして生活の中心が山に関わる事になりました。 20代後半には、仕事まで山になりました。山岳地での気象観測という業務をし、国内の山々に仕事で入り込む様になりました。

遅かりしですが、私が日本を脱出できたのは40歳を過ぎてからです。東京湾の海を眺めながら"外国へ行きたい"と思った子供の頃の夢は、大人になるにつれて頭の隅っこにしまい忘れていたのです。 そしておじさんの域に達してやっとたどり着いた外国は"ヒマラヤ"でした。新しい山岳会を自分で作り、海外の山を目指す様になりました。初めてこの目でヒマラヤを見た時、子供の頃の夢がやっとかなったと思いました。そう、しまい忘れていた夢がころっと目の前に転げ落ちたのです。世界がそれまでの百倍に広がりました。ここまで来るのに40年かかったことが悔しくて、なんでもっと早く来なかったのかと思いましたが、考えようによっては、40年もかかってやっと夢が今かなったのだから、こんなに素晴らしいことは無いとも思いました。そしてこれからの人生は、今かなった夢をずっと見続ける事だと思いました。ですからそれ以来私は、こうして夢の中にいます。

そして現在、今では一般の登山が好きな方達を山にお連れする"山岳ガイド"という仕事がメインです。一緒に山に登る方達が目を輝かせて山を眺める姿を見るのが好きで、皆さんの夢のお手伝いをしているのかなあと、ちょっとした満足感が味わえるのがなによりの仕事です。自己紹介のつもりが自分の履歴書の様になってしまいましたが、私の事、少しは分かってもらえたでしょうか。と言うわけで山がすべて、山しかとりえのない私ですので、山のお話ならばいくらかできる訳です。これからも山のお話を沢山しますので、どうか今年もよろしくお願いします。

さて、と言うわけで山のお話、これからも続くのですが、皆さんのご意見ご感想、そして今後どのような山話しを聞きたいかのご希望。山に関するご質問等々をお寄せ下さい。お便りを放送でご紹介させていただいた方には、私が持ち帰った山のおみやげ品などをプレゼントします。
宛先です。

〒238−0008 横須賀市大滝町2−20 FMブルー湘南
FAX は、0468−21−3511  川名 匡の山に遊ぶの係りまでよろしく。
あなたの住所・氏名も忘れずに書いてください。

雪をかぶったまっ白い山が大好きな"山岳一級遊び人" 川名 匡でした。 でまた来週


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