めっきりと寒くなりました。私の大好きな日本の冬到来。という感じです。
しばらくと言ってもほんの2週間ほどでしたが、今年2回目のネパールに行ってました。
先日帰ってきた時、 途中立ち寄ったバンコックが暑かった事もあって、成田空港に降り立った時の寒さに思わず震えてしまいました。どうやら日本は11月に入って突然寒さが厳しくなった様です。山もすっかり冬景色となって真っ白です。
さて、ネパールの話をしましょう。
今回行ったのはネパールを代表するトレッキングコースのエベレスト街道をタンボチェという場所までです。
都合一週間ほどの山歩きでした。もっとも山歩きと言っても、ネパールの人が住んでいる山里を歩くので、毎日がハイキングという雰囲気です。ほとんどの荷物はシェルパ族のローカルポーターが担いでくれて、ちょっとした小物類だけを持った軽装です。そんな中で、今回楽しみだったのはナムチェという町です。山奥に忽然と現れたという雰囲気の、谷間に開けた町で、勿論車の通る道はなく、ここへ行くにはルクラという場所から二日かけて歩くか、又はヘリコプターしか無い場所なのに、何故かとても開けた町です。国境を歩いて越えてやってきたチベットの人達が、古着や日用雑貨を露天で売っています。その品物を求めて、近隣のシェルパ達が毎日やってきて、いつ行ってもとても賑やかな場所です。またこの町は、チベット人のバザールだけでなく、海外からのトレッカーも多く立ち寄るトレッキングや登山の基地でもあるので、観光客相手のお土産屋さんや、焼きたてのパンが食べられるパン屋さんやインターネットカフェー、日本円もOKの両替屋さん等々、カトマンズの一角と間違える程の施設があります。今回ご一緒したメンバーは、中高年女性が多かったのですが、買い物好きの私もたじろぐ程の値引き交渉で、日本のおばさんパワーに圧倒されました。さぞかしシェルパ族の方達もビックリした事でしょう。しかしそんな場所での買い物は本当に楽しくて我を忘れるのも事実です。ヤクという、牛を大きくした様な動物の毛で編んだセーターや帽子、手袋、そしてマフラーなど、とても素朴でいい雰囲気の商品が並んでいますが、マフラーなど、元々300ルピー、日本円で600円程度の品物を20枚まとめるから100ルピーにしろとか、袋いらないからもう少し負けろとか、相手が可哀想になる位の交渉で、ハラハラです。もっとも、結局は相手の方が一枚上手の様で、絶対に赤字になる金額では売りませんので、お互いに駆け引きを楽しんでいる。買い物を楽しんでいるという事になります。言葉は分かりませんが、シェルパとチベット人でのバザールでも、同じ様な交渉がされているんだろうなあと思うと、これも楽しそうです。
山の方ですが、今回はタンボチェという、この地域で一番大きなゴンバ。チベット仏教のお寺がある場所が最終キャンプで、近くの丘まで日帰りハイキングをしてきました。この丘は私初めて行ったのですが、とっても景色のいい場所で、ローツェ南壁を前衛に置いた世界最高峰のエベレストや、近くにアマダブラムというとっても格好のいい山が間近に見えました。お天気は快晴で、360度、どこを向いても真っ白なヒマラヤの峰峰ばかりという、絶好のロケーションで、ピークで3時間ほどゆっくりと過ごしてきました。タンボチェの標高が3800メートル程度で、この丘が4200メートルあります。さらに奥に入る時の高度順応にもちょうどいい高さですので、また別の機会があったら、またここからの景色を眺めてみたいと思っています。
タンボチェ寺院では、夕方のお勤めを見学させてもらう事ができました。まだ若い僧侶達がみんなしてお経を読んでいるのですが、私たちの事が気になるのかこちらをチラチラ見たり、仲間とヒソヒソ話をしていたり、全く落ち着きが無くて、まるで事業参観日の小学生の様でした。この寺院は、想像もできないくらいに古くからあるのですが、建物自体は10年ほど前に火事で一度焼失してしまい新しい物です。中には大きな仏像やタンカという仏画などがあって、とても興味深く拝観させてもらいました。
タンカという仏画ですが、大きい物はたたみ1畳程の物もあり、また素晴らしく豪華です。以前ネパールを訪れた時に、このタンカを是非手に入れたいと思い、カトマンズの町をだいぶ歩きましたが、やはりいい物は、私の手の出る金額ではなくて、納得のいくという程度の物で500ドルほどしていました。それでも売っている物は、現在の絵師が描いた物で、古くからある物は全て国宝級であり、購入するというより国外持ち出し禁止品がほとんどの様です。画廊で描いている所を見せてもらった事もありますが、とっても精密で、やはりそれだけの値段は仕方が無いかなと思いました。将来、お金持ちになったら是非1枚、納得のいくタンカを手に入れたいものです。
さて、ネパール気分がまだ取れていない今日この頃ですが、今週末は鷹取山で冬山に登るためのトレーニング。その後はお仕事で秩父の山奥に入る予定です。しばらくは日本の初冬の山々を堪能することにしましょう。
ネパールの音楽を聴きながら、今日はお別れします。
山岳一級遊び人、川名 匡でした。ではまた来週…
今回のネパールはこちらにレポートがあります。→ rep 11/17up
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