先日の三連休は、北アルプスの白馬岳に登りに行ってきました。 三日間を通して快晴のお天気に恵まれて、久しぶりに日焼けしました。
山の中腹の紅葉がきれいで、先週お話しした、アントシアンとカロチノイドが大活躍という感じでした。
さて何で行ったかと言うと、山岳ガイド連盟の資格更新研修会という催しでした。
私は、日本山岳ガイド連盟に所属している山岳ガイドですが、3年に一度、現在の資格を維持する為の研修会参加する義務があります。その場で、色々な新しいガイディング技術を身につけたり、現在の技術の復習をしたりします。いつもは、お客さんを山にお連れしたり、山岳会のメンバーを連れて歩いたりしていますが、久しぶりに生徒となり、しごかれて来ました。得る物も多く、非常に有意義な三日間でした。ところで、白馬岳もそうでしたが、山は紅葉真っ盛りという感じです。日本中の山々が、赤や黄色や茶色に色づいています。けして原色ではなく、セピア調の赤や黄色は、鮮やかではありますがそれでも何かしら心を和らげてくれるモノです。しっかりと秋の山に浸りたいと思います。
では、その秋の山に浸るとして、夏の山登りしか経験のない方へアドバイスです。
秋の山は夏場の様な蒸し暑さもなくて、晴れた日に登っても涼しい風に吹かれて快適な山歩きが楽しめます。ただし、もうそろそろ2000メートルクラスの中級山域でも初雪が降りますし、いったん天気が悪くなると夏山の数倍の厳しさも待ち受けています。ですから、あまり山の経験が無い内に秋の高い山に登るとえらい目にあうこともあります。ですから、中級山域以上の山に登られるのでしたら、夏の山を経験してからにしたほうが無難でしょう。夏の山を登られていてある程度登山装備もそろっている人が、秋の山に登る上で新たにそろえなくてはいけない装備はほんの少しですがあります。まずあげられるのが防寒具です。防寒具と言っても、冬に着るようなハードなものではなくて、家にあるセーターなどを持参しても大丈夫です。ただしセーターはVネックではなく丸首のもの、徳利のセーターは今度は暑すぎてダメです。暖かいからいいだろうと、あまり厚手のものも山では使い勝手が良くありません。山のウエアーの基本は重ね着で、微妙なそして時には激しい温度変化に対応できるように、厚手を一枚よりは薄手を二枚用意した方がいいのです。一番上には、防寒用のウインドブレーカーつまり山で言うヤッケも必要ですが、これはゴアテックスなどの雨具で代用できますし、最近の登山用雨具は、そう言った防風防寒にも対処できるような作りになっています。防寒用としてはセーターの他に手袋や帽子があります。
夏山で使用していた手袋と言うのは、防寒よりも防護というか、手の保護用のものが多いですし、帽子も日よけ的な役割を重視したものが主になりますが、これから寒くなってくると、やはり防寒的な役割も要求されてきます。冬場、雪の多い山に登るときは、防水も要求されますが、秋山の場合は冬の厚手よりも少しライトな薄手の防寒用手袋や、帽子が役に立ちます。また重要になってくるのが下着類です。夏場も化学繊維系の速乾性のいい下着が重宝されますが、これから寒い時期になってくるとさらにそれが重要になってきます。実は登山というのは、非常に体の熱を発散する行為ですので、たとえ冬の氷点下の山でも、行動すれば確実に汗をかきます。かいた汗がその後どうなるかというと、速乾性のいい下着を身につけていないと下着がぐっしょりと濡れたままになってしまい。行動が終了したり、休み時間に体の冷えが深刻な状態にまでなります。あまり薄手でないズボンでしたら夏に履いていたズボンでいいですが、下着には注意したほうが無難です。
また装備ではないですが、秋の山で注意することに行動時間があります。夏場でしたら夕方の6時を過ぎてもまだ明るいですが、これからの時期、もう5時を過ぎれば真っ暗になります。たとえ低山のハイキングでも、これからの時期は夏場よりも余裕を持った行程で、早めに行動を終了させるようなコースを選びましょう。
さてところで、しばらく更新を怠っていたこの番組のホームページですが、また更新作業を再開しましたので、アドレスをご報告しておきましょう。
http://www.mt-kawana.com/FM です。 インターネットのホームページを見られる環境にある方は、是非覗いてみてください。 ホームページ上にあるアドレス宛に、山に関するご質問や、番組に関するご意見ご感想なども送っていただけたら有り難く思います。皆さんよろしく。
今週は北アルプスの穂高岳に登りに行きます。また帰りましたらご報告しましょう。
山岳一級遊び人、川名 匡でした。ではまた来週…
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