2002.10/10up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(2002.09/28放送)

お天気の話

先週は北アルプスに行って来ました。北鎌尾根という一般登山道では無い、バリエーションルート、つまり岩登りの要素があり経験者でないとちょっと難しいコースで、あのとんがり頭で有名な槍ヶ岳に登りました。久しぶりのハードなコースだったので、毎週山登りをして体力向上しているはずなのに、何故か結局バテてしまって大変でした。お天気はまずまずで、山を登っている間は雨にも降られず、景色も最高でした。

そして今週……。

本当は今日は、谷川岳に登りに行ってる予定でしたが、高いパーセントの降水確率となったので、中止しました。久しぶりの山無しの週末です。
めっきりと涼しくなったのは冬型人間の私にとっては有り難いのですが、今年の9月は雨が良く降ります。
もっとも、スッキリとした秋晴のイメージがある秋も、秋雨前線が居座ったり、また台風がゃって来たりして、以外と雨が多い時期でもあります。
私はしっとりと濡れた雨の雰囲気も嫌いではなく、スッキリと晴れたりすると山に行きたくてウズウズしてしまうので、のんびりとお休みをしたい時は、逆に窓越しに雨音が聞こえるのが好きだったりします。しかし一般的には、雨は憂鬱な印象でしょう。スッキリと晴れわたり、お天気が良ければ気分も晴れて楽しくなりますが、雨は気分をめいらせたりもするものです。 季節的要因に社会的要因が加わって、軽いうつ病の症状となる"五月病"というのがあります。大学に入学したり会社に入社して、目標を達成した後の虚脱感とか環境の変化に伴なうストレス、それに春から初夏に向かう季節の変り目で、温暖の差が激しく体温調節機構の障害なども内因性うつ病に影響しているとされます。 五月病の症状としては頭痛、めまい、肩こり、食欲減退、睡眠障害などのほか、気分が落ち込むとか気力・意欲の低下、イライラ感などを伴ないます。人と人の葛藤とか他人への不満などから生ずる暴力行為も、気温などの気象条件の変化に伴う季節変動があるようです。精神的な不満が肉体的な不満のはけ口を求める暴力、例えば性的暴力にも季節性があるといいます。これには、夏にピークをもつ男性ホルモンの季節変動が関わっていて、このような攻撃的行動は人間だけでなく動物一般にいえることだといいます。暴力行為の季節性は他人同士の場合だけでなく、家庭内暴力にも気温同様に夏にピークがあり、人間の神経過敏に気温が大きく影響しているという研究もあり、これを天候依存症などとも言います。 また、これらのことが必ずしも天候や気温の変化などの気象条件だけで生ずるのではなく、大気中のイオンの増加が人を短気にさせるという研究もあります。イオンが人間の身体に及ぼす影響は、体内のセロトニンの量によります。プラスイオンはセロトニンの分泌を増し、マイナスイオンはそれを抑えます。プラスイオンは、天候依存症の人が恐れるような症状、すなわち、イライラ、頭痛、不安感、不眠症、疲労感などを引き起こします。プラスイオンはあまり体に良くないようです。 逆に、マイナスイオンは、汚染された空気を浄化してくれ、バクテリアやウィルスを除去し、感冒、インフルエンザなど多くの病気の発生を減らしてくれる健康に良いもので、田園地帯のように平和で景色の良い環境や、森林地帯にたくさんあるといいます。特に多いのは渓流や滝がある場所で、滝などの飛沫を浴びて気持ちがいいのはこのためです。同じ様な理由で、家の中でも、シャワーなどはマイナスイオンが発生すると言われているので、疲れた時にはゆったりとした気分で時間をかけて暖かいシャワーを浴びるのも疲労回復になります。
と言う事は、自分の身近に、健康に良くないプラスイオンの源と思われるものがないかどうかをチェックしておくことが大事かもしれません。
乾いた熱風、雷雨、あるい工業汚染などは、かなりのプラスイオンを発生させています。空電の多い日に産業事故・死亡者数が増えるというドイツの研究もあります。

川柳(せんりゅう)のなかに良く知られている "かみなりをまねて腹かけやっとさせ" と言うのがあります。
これは、夏の暑い時、こどもは腹かけなど身にまとうのを嫌がるのを、冷えてお腹をこわしてはいけないという親心から、子供の怖がる雷をまね「雷様におへそをとられるよ」とか言って、なんとか腹かけをさせるという風景です。江戸時代はおろか、今でもお母さん達は、同じ様に雷様の助けを借りているのではないでしょうか? またこれは、ひょっとすると感のいい当時の人は雷さまにプラスイオンの発生を意識してたかも知れないと思うと、現代風にこの句を深詠みして先人の知恵の深さを痛感してしまいます。あるいは、寒冷前線通過時の雷であると、前線通過後には北風となり、冷気が吹くので、子供を裸のままにしておくと、お腹を冷やしかねないといった意味もあるのかもしれません。

人はこれだけ進化しても、まだまだ自然界に左右されている生き物です。
自然体でのんびりと好きな事をやって暮らすのが一番いいのでしょう。

私にとっては山登りが一番。
お休みは一週だけにして、来週も山に行きます。
今日はお天気のお話になりましたが、今度は山でお会いしましょう。

山岳一級遊び人、川名 匡でした。ではまた来週…


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槍ヶ岳