そろそろ暑い夏も峠を過ぎた感じです。
盆は北アルプス最北部に位置する剣岳に登ってきました。山は天候不順で、あまりいい天気とは言えませんでしたが、心配していた台風も、おかげさまで関東の方にずれてくれまして、決定的に行動が制約されるような天候にはならなかったので、毎日山登りを楽しめました。
剱岳ですが、一体どこにある山かと言いますと、富山県の南に位置して、皆さんの中にも訪れた事がある方も多いと思います立山・室堂の北側にある山です。標高は2998メートル。3千メートルに2メートル程足らない山ですが、国内では第一級の岩場がある山です。一般の登山道を通って山頂まで登れますが、そのルートは岩場にクサリや梯子がかけられていて、一般の登山道としても国内で一番難易度の高いルートです。ですから、本来剱岳を目指す登山者は、北アルプスや南アルプスの三千メートル級の他の山々に登って、たっぷりと経験を積んでから訪れる山のはずなのですが、最近は特に一目見て初心者と分かる人たちも沢山登っています。簡単なウエストバックのみで登っている人や、山頂で水を分けてくれという人、もうお昼過ぎであるのに下から登ってくる人。ちなみに高山での行動時間は午後2時頃までが常識ですから、お昼過ぎても登っていると言うことはすでに遅すぎる訳です。こんな一目見て初心者と分かる人たちが続々と登ってくるので、私はいつもハラハラしてこの光景を眺めています。
私達が今回登った剱は、岩場が有名です。私も幾つかの岩登りのルートを登ってきました。剱岳に直接突き上げる源治郎尾根という岩稜ルートや、剣岳の山頂に突き上げている本峰南壁や、恐竜の背中のようにゴツゴツとした八峰尾根にある6峰フェースなどですが、岩登りのルートは一般道とは離れた場所にあるので、比較的静かな山を楽しめます。岩場を目指す訳ですから、それなりに技術を身につけた人たちだけの世界です。景色も、シーンと静まり返ったガスの中から、スウッと突然鋭利な岩場が現れたり、真っ青な青空が現れたり、雷鳥に出迎えられたりもします。ただし、山頂にたどり着けば一般道から登ってきた登山者達と遭遇するので、いきなり銀座のような世界になります。また、帰りは一般道をおりますので、必ず渋滞に巻き込まれます。それでもやはり、岩登りの静寂な世界を求めて毎日入山しました。剱岳のベースとなる場所は剱沢というところです。ここはテントが沢山張ってあり、山小屋もあります。また、大学の診療所や富山県警の常駐警備隊の事務所もあって、大にぎわいです。岩場から帰って、夕飯時のビールでの乾杯が最高です。この場所の日中の平均気温は20度前後で、夜は10度以下になることも珍しくありません。お風呂は一週間入りませんでしたが、湿気も少ないのであまり苦になりません。もっともこれも経験を積んでいるからこそで、いきなり一週間のお風呂無しは普通の人には考えられないかもしれません。また帰りは、裏剣と呼ばれている仙人池に足を伸ばし、トロッコ列車で有名な黒部渓谷の欅平(けやきだいら)に下山しました。欅平に続く有名な水平道を最終日には延々と約11時間歩き続け、もうヘトヘト状態で下り着きましたが、仙人池に写る逆さ剣や、黒部の深い深い谷間を訪れて、感無量です。その晩はトロッコ列車で宇奈月まで下り、そのまま何故か石川県の金沢まで行って泊まりました。久しぶりの山以外の観光もして、楽しかったです。
そして今週は、山登りを趣味にしている方でしたらご存じの、山岳雑誌として有名な山と渓谷社の、ヤマケイ・北アルプス登山教室という催しに参加しています。ヤマケイ読者の方達と一緒に山に登り、夜は山小屋で机上講習会を開催します。
今回の私のスケジュールは、太郎平小屋をベースとして薬師岳と野口五郎岳に登る4日間、上高地の岳沢を登り、前穂高岳・奥穂高岳と縦走し、涸沢から横尾経由で下る3日間。そしてやはり上高地から焼岳に登り、西穂へ縦走し、西穂高岳に登る3日間の都合10日間です。 夜の講習会だけでなく、日中の山登りをしながらも、歩き方の指導やお話をさせてもらう予定です。もうこの催しに参加するもの、今年で4年目となりますが、今年も頑張ってこようと思っています。連続して山に入りますので少々疲れるとは思いますが、楽しみです。
また帰りましたら、そのお話もしましょう。
さてところで、皆さんもこの夏色々な所に出かけられたと思いますが、特に山に登られた方、お便りお待ちしています。
また山に関するご質問や、この番組のご感想も合わせてお待ちしていますのでよろしく。
宛先は、
〒238−0008 横須賀市大滝町2−20 FMブルー湘南
FAX は、0468−21−3511
川名 匡の山に遊ぶの係りまでよろしく。
今回のヤマケイ登山教室が終了するのは9月1日。もう8月も終わってしまいます。 今年の夏も暑かったですが、結構沢山、山に非難する事ができて、暑さが嫌いな私にはラッキーでした。 結局、8月の山行日数、つまり遊びで山に入っていた日数は合計20日間ほどになります。
毎日ガンガンと登ってきましたので、そろそろ温泉三昧がいいなぁと思っている今日この頃です。
山岳一級遊び人、川名 匡でした。ではまた来週
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