2002.10/10up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(2002.07/13放送)

梅雨明け

皆さんの中で、この夏に初めて三千メートル級の山に登る人も多いかと思います。
先日も富士山に登るお話などしましたが、今日も、この夏に三千メートルの山に登る為のお話をしましょう。
その為の装備や登り方のお話です。
このお話は、今日と来週の二回に分けてお話しますので、今日はまず装備のお話からします。

まず必要なのが登山靴です。標高の高い山に登ると、ほとんどの場合、険しい岩場やガレ場という足場の悪い場所が現れます。また雨が降って泥だらけになったりもしますし、保温の事も考えなくてはなりません。山を歩きなれた人が、短期間の山登りをするのであれば普通の運動靴も軽快でいいのですが、やはり足の保護や防水性、そして何よりも歩き安さを考えたら、しっかりした作りの本格的な登山靴を用意するのがベストでしょう。しっかりした登山靴とは、足首まで覆うハイカットで防水加工された革や厚手のナイロン製のものです。靴底はビブラムソールなどに代表される独特の深いパターンで刻まれていて、岩場や泥道でも滑りにくくなっています。しっかりした登山靴はしっかりした登山専門店で、しっかりした店員さんのアドバイスを聞きながら、購入前にまず店内で履いて歩いてみましょう。

さて次に重要なのは雨具です。低い山を登っているうちは、ビニール合羽のような簡易的な雨具でいいのですが、高い山に登るときはやはりしっかりとした雨具が必要になってきます。登山用の雨具の場合、形は上下セパレートタイプで素材はゴアテックスです。簡易的な雨具に比べて少し高価ですが、雨具はしっかりとしたいいものを使用しましょう。特に高い山では、雨具は単に雨に濡れない為だけの道具ではなくて、防風・防寒の役目をはたしてくれます。サイズは今の時期ぴったりなものは避け、秋や冬場の着膨れにも対処できるように少し大きめがいいと思います。

高い山に登るには、ほとんどの場合は一泊以上の泊まりの山登りになります。その為、日帰りのハイキングなどで使っていたザックは小さすぎて荷物が入りません。ちょっとした着替えや食糧なども担がなくてはいけないので、最低でも30リットル以上の大きさが必要になってきます。ザックも、雨具や登山靴と同じようにそれを背負う人のサイズがあります。サイズは肩から背中にかけての大きさですが、特に中型ザック以上のものを購入するときは、自分のサイズに合った物を選ばないと背負いにくいばかりか背中を痛めます。これもしっかりした登山専門店で、しっかりした店員さんにアドバイスしてもらうのがベストです。

さて今お話しした、登山靴・雨具・ザックが登山の三種の神器ですが、この他に必要なものとしては、暗くなってしまった時に使うヘッドランプ、水分補給の水筒、夏の強い日射しを防ぐ帽子やサングラス、手を保護する手袋などが必要です。また、登山に適したウエアーは撥水効果の高い化学繊維素材です。通気性や動き安さも考えて、ゆとりのある大きさを選びましょう。また、真夏でも防寒具は必要です。三千メートルの稜線では、夜になると0度前後になる事もあります。上着はゴアテックスなどのしっかりした作りの雨具で代用できるとして、中間着として必ずセーターやフリースなども用意しましょう。 さて、だいたいこんなところが装備です。低山のハイキングでは、普段の生活に使っているようなものでも代用できる事が多いのですが、やはり三千メートルを超えるような本格的な山登りをしようと思ったら、ほとんどの装備類は登山専用のしっかりしたものが必要になってきます。初めて購入する場合は、登山専門店で相談するか、登山経験者のアドバイスを聞かれるのが肝心です。

さて、ここまでお話ししておいて、突然近況報告ですが、実はこのの放送は収録で、現在私は中国西部の山を登っています。中国の一番西にある新彊ウイグル自治区。その都であるウルムチの近くにあるボゴダ峰という山の麓を俳諧しているはずです。
新彊ウイグルは、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタン、チベット等々、多くの国にかこまれたシルクロードの世界です。中央には有名なタクラマカン砂漠を持ち、その殆どは広大な原野ですが、の区都であるウルムチは、その昔のシルクロードのオアシスとして重要な位置にある都市です。中国と言っても、ウイグル族やカザフ族など、西洋系の民族が多く、西洋と東洋の境目というところです。今回は、そのウルムチから約90キロ離れた地点にある、天池という場所から入山し、日本列島ほどの長さがある天山山脈の主峰、ボゴダ峰のベースキャンプまで行って来ます。ちょうどこの放送がある頃は、登山からウルムチに帰り着いた頃でしょう。日本には15日に帰国します。 と言う事で来週は、このウイグルのご報告も含めて、またこの日本の夏山登山のお話などもしましょう。

次回は、歩き方や登り方編です。

山岳一級遊び人:川名 匡でした また来週。

 

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