先週は、7月に予定しています横須賀山岳協会主催の"市民登山"の為の下見に北アルプスは西穂高岳と焼岳に登りに行って来ました。
梅雨の時期なので雨を覚悟で行きましたが、なんと行程の3日間ともに晴れてびっりでした。
普通この時期はお天気が悪いので、登山者もあまりいません。丸二日間山道を歩いて、すれ違った登山者はほんの数名でした。
とっても静かでそしていいお天気の山登りをさせてもらい、よっぽど私の行いが良かったのだろうと、神様に感謝しております。
皆さん、信州の上高地はとっても有名な観光地ですからご存じでしょう。標高1500メートルにある大正池や梓川、そしてまだまだ雪をかぶった標高3000メートルの穂高連峰等々が見られ、とってもいい場所です。梅雨の時期でも、さすがに上高地は観光客が沢山いました。今回はその上高地から西穂高岳を目指しました。 通常、西穂高岳に登るためには、最短コースの岐阜県側、新穂高温泉のロープーウェイを使用します。ロープウエイを下車した新穂高口から西穂高岳山荘までは約1時間。そこから西穂の独標というピークまで2時間ほどの道のりで到着できます。しかしそれよりも行程・標高差・そして時間も長く、ちょっときついルートが、長野県側の上高地から入山する今回登ったルートです。このルートは、西穂高岳山荘まで、途中の休憩も入れて約3〜4時間。緩い登りと急な登りを繰り返し、道も所々段差が高く、例えば初めて山登りをする人にはちょっとしんどい道のりかもしれません。しかし安易にロープーウェイで上まで登ってしまう事を良しとしない硬派な登山者にとっては、昔からの正当ルートです。今回は残雪も沢山ありましたが、市民登山当日には雪も消えてしまうでしょう。
ところでこの時期の残雪は、あまり山歩きをされていない登山者にとっては、とても危険な場合があります。それは残雪で登山道が隠れてしまう事です。例えば残雪が残る場所がまっすぐな道であったり、わかりやすい地形でしたらいいのですが、ちょうど残雪部分で道の方向が間違っていたり、また歩きやすい残雪の上を歩きやすい方向にドンドンと行ってしまったりして、結局ルートを見失ってしまう事があるからです。残雪のとても多い、例えばゴールデンウイークから5月中旬までは、一般に高い山に登る時は冬山の装備に準じた、ピッケルやアイゼンなどを持参し、しかも残雪に慣れた登山者達が入山しますが、6月を過ぎると、高い山をあまり登ったことが無い人達は、下界ではとても6月に雪があるなんて信じられませんから、雪の事など意識せずに山に入ってしまう場合が多いでしょう。そんな時、雪の上が歩きやすかったり、また思わぬ雪上歩行を楽しんでいて、結局道に迷ってしまう事が良くあります。そういう事故が一番多いのが、穂高などの標高の高い山やまた残雪が遅くまで多く残る東北などの山々のちょうど6月頃でしょう。もし雪道に慣れていない方が残雪に出くわしたら、是非慎重にルートを探してください。 さてこの残雪ですが、後一ヶ月あまり、梅雨の雨の影響で、梅雨明け頃には殆ど消えてしまいます。もっとも沢筋や、標高3000メートルを超える場所などには、夏になっても若干残りますが、登山道の雪は7月中旬以降、殆ど無くなってしまいます。
さて話を残雪から市民登山の下見に戻しましょう。
ちょっと急できつい登りを繰り返すと、やがて稜線に出て、西穂高岳山荘に到着します。まだ新しい、ログハウス調のきれいな山小屋です。但しあまり大きくない小屋ですので、市民登山の頃には登山者であふれかえっている事でしょう。今回予定している7月下旬の時期は、梅雨明け一番の、山でも一年中で一番いい時期ですので、登山者も沢山います。おそらく、山小屋は定員オーバーの状態で、一つの布団に3人寝る様な状況になると思いますので、市民登山参加の方は覚悟していてください。
さて西穂高山荘に到着したら、重たい荷物は小屋に置いて、雨具や行動食などの必要最小限の荷物のみを持って、いよいよ西穂高に登りに行きます。しかし、実は西穂高岳は、他の穂高連峰の山々と同じく、とても険しい岩山です。初心者は独標と呼ばれる、西穂高岳頂上の手前のピークまでで、その先は辞めておいた方が無難です。また今回の市民登山も、初心者対象の登山であること、そして大人数であることなどを考慮し、西穂独標、標高2701メートルまでとなります。しかし独標にしても、最後は岩登りの様に両手も使って登る岩場となります。直ぐ先に西穂高岳の山頂。そしてその後ろに、より高い標高3190メートルの奥穂高岳。その横に前穂高岳などを眺める事ができ、360度の大展望台です。西穂高岳山荘から独標までの所要時間が約2時間。下りが1時間です。先ほど荷物を預けた小屋に戻り、本日の行程は終了となります。 後は、せわしない夕食をとって、一つの布団に3名で寝る(!?)だけとなります。
まだ行程は続きますが、話が長くなってしまいました。 続きは来週お話しましょう。
市民登山の事だけでなく、この夏に富士山やその他の山に登りに行く人達の為に、夏山登山の装備のお話などもする予定です。
山岳一級遊び人:川名 匡でした また来週。
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