2002.10/10up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(2002.05/18放送)

春の山々

ナマステ〜!!

と言うことで、まだネパールの余韻が取れていない今日この頃です。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
私はといいますと、実はネパールでの出来事、体験したことがあまりにも凝縮&盛りだくさんであった為か、帰国後ドッと疲れが出て、何となく心も体もマイナーな毎日です。山もしばらくはいいかなと、それまでは毎週登っていたのが、帰ってから先週とそして今週。なんと2週間もご無沙汰状態です。そろそろ立ち直った方がいいかなと言うことで、ちょっと元気に振る舞っております。

さて、 ところで本日は重大発表があります。実は、本日、5月18日は、私の誕生日です!
 まぁ、世間的にみればそんな大した事ではなくて、殆ど忘れ去られて過ぎてしまうのでしょうが、私にとっては一大事というか、つまり、また一つ歳をとってしまうという、悲しい日です。いくつになったか?というお話はとりあえず止めておきましょう。もう年齢的には、折り返し点はとっくに過ぎてしまっている事だけは確かですが、何となく気分は現在が山頂、山のてっぺんです。できれば毎年毎年が山頂でいたいと、これからは特に思う次第です。と言う訳で、皆さんまだ遅くありません。今月いっぱいは募集してありますので、誕生日プレゼントの詰め合わせなどお待ちしています。

さて、 山は春です。
下界の春は3月には始まり、そろそろ夏の暑さを予想させるような季節になってきていますが、高い山や雪国の山は、5月に入りやっと春の雰囲気が出てきました。山桜もちょうど見頃できれいです。 まだまだ残る残雪の間から、フキノトウが目を吹き出し、大好きな山ウドやタラの目などもニョキニョキと生えて来ています。山はみずみずしい新緑に覆われて、一年中で一番活動的な季節になってきました。私の大好きなブナの木も、ふさふさと可愛らしい毛の生えた、小さな新緑が沢山生まれています。日本は、四季折々の季節感が味わえる国ですが、山が若々しく生まれ変わる5月の姿は、毎年毎年、何度見ても飽きません。 そなん5月に、自分も生まれたのだと思うと、ちょっとうれしくなったりします。

ところで私たちは、この5月になると、毎年恒例の焚き火のお祭りを行っています。もう何年も前から続いているのですが、その行事を、4年前に山岳会を作ってからは、会の行事として行うようになりました。名前を、"万象祭"と言います。万象とは森羅万象の万象です。このお祭りは、私たちの"山開き"的な意味合いを持ちます。つまり、昨年一年は事故もなく、山を楽しませてくれてありがとうございました。という事と、今年一年もまた安全で楽しい山遊びができますようにという願いを込めた、自分たちなりの祭礼を焚き火を囲み実施します。ちょっといい訳かもしれませんが、けして単なる飲み会ではなくて、私にとっても、一年の中で、山で遊ばせてもらっている区切りというか、非常に重要な行事です。 さて今回の行事でも、そのメインとなるのは焚き火です。 家にいればヒョイとつまみをひねれば火がつく時代に、まず火種を作って、小さな炎から徐々に燃えだしてきて、やがて本格的な炎となり、パチパチと音を立てて燃える焚き火は、なぜか気持ちをホッとさせてくれます。ですから、今回以外でも、登山道等を歩く山登りではなく、沢登りなどの道無き道をあるく山行で、お気に入りの、自分たちだけのキャンプサイトに到着したら、まず私は薪(たきぎ)拾いを始めます。ただ私の場合、いつも気をつけなくてはいけないのは、ついつい大物を集めてしまう事です。沢筋を物色していると色々な大きさの流木が集まるのですが、中には一人で持ち上がらないほどのものもあります。こんなの集めていったい何日焚き火をするんだと言うような大物もあります。と言うわけで焚き火の大きさは程々に…。

 焚き火はキャンプのメインディッシュです。ですから念入りに燃えやすく形のいい流木などを物色します。食べ物やお酒に贅沢は言いません。沢を流れる清流の響きと、焚き火の炎さえあれば、たとえインスタントラーメンにとびきり安いお酒でも最高の夕食会になります。食事の後、少し小さくなった焚き火を突っつきながらチビリチビリとやるアルコールは贅沢の極みです。みなさんも試して下さい。

 ところで、通常、国立公園内は焚き火は禁止されていますし、その他の山でも火の後始末はしっかりとしましょう。私は焚き火が好きですが、沢筋で安全な場所でしかしません。乾燥している時期も危険です。そのためにも程々の大きさの焚き火がいいですね。

と言う訳で、焚き火をしていても、せせらぎで、木漏れ日を浴びながらボーっとうたた寝をしていても、本当にいい季節になりました。このあと直ぐに梅雨になって、そして私の大嫌いな夏がやってきますが、それまでの間、じっくりとここ数週間は、のんびりとした山遊びを堪能したいと思っています。

山岳一級遊び人:川名 匡でした ではまた来週。

 

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