先日は谷川岳に登って来ました。すっごくいい天気で、顔も真っ黒になりましたが、雪の中にいても暑いくらいで、ゴールデンウイークの北アルプスにでも居る気分でした。夜寝ていても、そこいら中で雪崩の音が聞こえていて、「ああ春だなぁ」と感じる山でした。春先に起こる底雪崩れの音は迫力があります。狭い谷間にこだまする、はらわたに染み渡るような音は、なんど聞いてもあまり気持ちのいいものではありませんが、その音は春の訪れの音です。沢筋にふきのとうがあらわれ出したり、残雪を勢い良く跳ね上げて起きあがった木の枝がザワザワとうるさくなったりするのと同じ春の音です。これだけポカポカと気持ちいい陽気になると、雪山を歩いていても本当にそよ風が気持ちよかったりします。 厳冬期の深い雪に、胸まで浸かってラッセルをしていたのが、いつの間にか雪もしまってきて、やがてカンジキを使わなくても歩けるほどに堅くなります。実は一年の内で一番山歩きが楽なのが3月を過ぎてから始まる残雪期です。夏は道が無くて行けなかったような山も、残雪期であれば雪の上を好きな道を作って登れます。締まった雪はとても歩きやすくて、行動範囲も広くなります。山スキーやテレマークスキーなどで行動するにも、まるで圧雪されたゲレンデの様になって滑りやすいのも、この残雪期です。
さてところで、話はころっと変わりますが、
富士山や白山などの山という漢字がつく山と、穂高岳や北岳など、岳という字がつく山があります。
『山』と『岳』ではどのような違いがあるのでしょうか?
実はこれ、ケッコウ難問です。広辞苑によると、
『山』 その周辺よりも高い場所 『岳』 高くて大きい山 と、なっていました。
ということは……、
『岳』は山の高いやつかな?と思ったんですけれども日本一高い山は富士山という『山』ですし、結局、良く解らなくなってしまいました。それなりの書物を調べれば、それなりの詳しい違いが解るとは思いますが、とりあえず私なりの考えをまとめてみましたので以下はあくまで私個人の考えですから、もし間違っていたらゴメンナサイ。
『山』とは、富士山・白山・浅間山・大雪山・立山・八甲田山・白根山飯豊山・阿蘇山・天城山・御嶽山といったところが挙げられます。
『岳』では、穂高岳・槍ヶ岳・北岳・赤石岳・甲斐駒ケ岳・谷川岳八ヶ岳・雲仙岳・赤岳・蝶ガ岳・茶臼岳・宮之浦岳 他ですね。
このように仲間同士で並べてみますと、ひとつの特徴に気付きます。
『山』とは、その山脈の大きな部分で、
『岳』とは、ひとつひとつのピークを示している場合が多いかなというポイントです。
例えば穂高岳の場合、正確に言うと「穂高岳」という山はありません。「奥穂高岳」を最高峰に「北穂高岳」「前穂高岳」「西穂高岳」などのピークが集まって「穂高連山」という山が成り立っていますし、南アルプスでは「北岳」を最高峰にして「間ノ岳」「農鳥岳」という岳が集まって「白峰(しらね)三山」という山があります。富士山にしても、山頂部分に色々な小さなピークがありまして、これは「岳」のみではなく「剣ヶ峯」そして「白山岳」「駒ヶ岳」などの岳の名前が個々のピークに付いています。もちろん例外もありまして、今までの答えが確実なものかどうかは私も今イチ自信はないんですけれども、どうでしょうか?
なんとなく雰囲気というか違いが解るでしょうか?
これはあくまで私の説でして、また何か解りましたらこの番組でお話したいと思っています。
この放送を聴いている方の中で、「その違いを知ってるよ」という方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひ教えてください。
今週は山はお休みです。たまにはのんびりとした週末を過ごすつもりです。但し、来週は飛び石連休を使って4日間山に入ります。前半は個人的な遊び、後半は山岳ガイドとしてのお仕事です。また帰りましたらご報告しましょう。
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雪が大好き。でも春も好きな一級遊び人:川名 匡でした ではまた。
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