2002.10/10up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(2001.12/22放送)

ホワイトクリスマス

私は雪が好きです。
あの真っ白でフワフワしていて気持ちのいい雪が大好きです。
ところでその雪が実は暖かいって知ってましたか?
山に降り積もった雪は、その下に眠る木の芽や虫たちや熊さん達や、その他大勢の生き物たちを、冬の厳しい寒さから守ってくれる大地の掛け布団の様な存在です。たとえ外気がマイナス数十度の世界でも、その雪の中は零度前後の温度を保っているのです。私たちも、冬になると雪洞と言って、雪の中に穴を掘って寝たりして遊んでますが、まさしく雪は、暖かい掛け布団と言えます。

さて、
街にはイルミネーションが綺麗に輝き、ライトアップされたツリーが飾られていますし、仕事に疲れた帰り道、赤や黄色や青いライトが点滅する窓を幾つも見かけて、何となくほっとする今日この頃です。  

もうすぐクリスマスです。

普通の日本人には関係ない催しのはずなのですが、私もこの時期になるとついつい浮かれてしまいます。ただし、お子さんの多い家庭では、ちょっと怖い時季でもありますが……。最近はあげるばかりでちっともいただけない私です。皆さんよろしく。(^^;  

さて、クリスマスと言えばやっぱり雪です。横須賀に暮らしているとなかなかこの時期、ホワイトクリスマスは味わえないのですが、毎年このクリスマス前後に山に登るとき、私が必ず持参するのがクリスマスのディスプレーと食べ物です。テントや周りの針葉樹に飾りづけをすれば、いつサンタさんが現れてもおかしくないシチュエーションとなります。スポンジケーキと生クリームを持参して、山の上でクリスマスケーキを作った事もあります。定番の料理はチーズフォンデューです。スパークリングワインで乾杯して雰囲気を作ります。山の中でのクリスマスは、馬鹿騒ぎをするよりもやはりしっとりと、深々と降る雪とプクプクと湯気の上がるチーズの香りを楽しみながら過ごすのが最高です。本当にトナカイのならす鈴の音が聞こえてきそうになり、耳をすませてしまう自分が、けして恥ずかしくない時でもあります。  

皆さん雪が降る音を聞いたことがあるでしょうか? 
都会でも、たまに大雪が降って、辺り一面雪景色になると、いつものざわざわとした音を消してくれて、雪が降る音が聞ける事があります。そんなとき私は、窓を開けて耳をすませながら、とっておきの地酒を開けたりするのですが、もちろんクリスマスに日本酒はいけません。最近、お酒を飲んでいてよく思うことは、そのお酒によく合う肴は、やはりそのお酒が育った国や環境で食べられているモノだと言うことです。ワインにはチーズ、ビールにはソーセイジ、バーボンにはビーフジャーキー、日本酒にはお刺身、等々です。そのお酒を飲む環境というか場所にもそれは言えます。雪見酒には日本酒がよく合いますが、ギンギンの冬山に登る時はウオッカがバッチリです。テントの外に放りだして、マイナス20度以下の寒さにさらしたウォッカはトロリと甘みが出てとてもおいしいお酒になります。雪山でビールが合うのはスキー場だけです。冬山でビールはいただけません。第一すぐに凍り付いてしまって、溶けたビールほどまずいモノはありません。日本酒もマイナス20度を過ぎると凍りますし、普通のウイスキーもどろっとした感じになってのど越しがいまいちですが、ウオッカのドロッとしたのど越しは最高です。  

なんかクリスマスのお話がお酒の話になってしまいましたが、話を元に戻して、
クリスマスにウオッカもよく合います。その昔、名前は忘れてしまったのですが、クリスマスにはジンに牛乳を混ぜた何とかと言うお酒だと教えてもらいましたが、私の好みには合いませんでした。クリスマスにはやっぱりワインかウオッカですね。  
え〜と、なぜかすぐにお酒の話に戻ってしまいますが、何のお話をしていたかと言うと…… 雪の降る音 のお話でした。 

雪が降る音は、サラサラと聞こえます。シーんと静まり返った山にサラサラと小さな音をたてて、真っ白な絨毯を引き詰めてくれます。私は山小屋ではなく、冬もテントで寝ますが、まさしく雪に包まれて横になっている感じが伝わってきます。冬でも夏でも、山の中にとけ込めている実感がもてるので、私はテントが好きです。冬はそれをさらに強く感じられるので、とても好きです。 さて今年のクリスマスも、スパークリングワインとウオッカとチーズを持って山に登ります。いつもの山は晴れることを期待して登るのですが、今度だけは深々と降る雪が希望です。 この一年の私の行いが悪いと、スカ〜ッと晴れてしまいます。さてどうなる事でしょう……。

さて、先週は西穂高岳に登る予定でしたが、やはりかなり厳しい冬型だったので、結局八ヶ岳に変更しました。15日の土曜日は八ヶ岳でも吹雪の状態で、稜線などはまったく歩けるような状態では無かったですが、日曜日、強風と格闘しながら稜線まで出ると、あれよあれよとガスが取れだして、真っ青な青空と吹き荒れた吹雪のおかげで真っ白に輝いた南八の西壁群が見事に姿を現してくれました。この時期でこんなに白くなった八ヶ岳を見たのも何年ぶりかです。ゲストを連れてのガイド登山だったのですが、ゲストの事も忘れるくらいに夢中になって、すばらしい景色を眺めてしまった程です。

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さて、今週末は箱根の山で仲間と忘年会ですが、その後は、どうやら越後湯沢から三国の山でホワイトクリスマスとなりそうです。ギンギンに冷えたウオッカと、チーズフォンデューが楽しみです。

雪が大好きな"山岳一級遊び人" 川名 匡でした。ではまた。

 

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