2002.10/10up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(2001.12/15放送)

冬が来て

12月も半分過ぎて、いよいよ今年も残りわずかです。  
ドンドンと寒くなってきてますが、皆さんお元気でしょうか?   
今年の冬は初冬から雪がまとまって降っていて、なかなか面白い冬になりそうです。

先日は富士山に行って来ましたが、4合目から雪があって、充分に雪遊びが楽しめました。雪上トレーニングで入山してましたので、山頂までは登らなかったのですが、土曜日は強い風が吹いていて、山頂付近は猛烈に吹き上げる雲が流れ飛んでいて、なかなか雄大な景色を楽しめました。気温はさほど寒くなく、朝方でマイナス8度程度でした。久しぶりに下から歩かずに、五合目まで富士スバルラインという有料道路を利用しましたが、五合目の駐車場は、アイゼン・ピッケル・そしてヘルメットをかぶった完全装備の登山者と、小さな子供の手を引いた軽装の家族連れとが入り乱れて混み合い、なんか変な光景でした。スバルラインを利用したのは10年ぶりほどで、五合目がこんなににぎやかだったなんて、改めてビックリしました。駐車場が凍結していたり、ノーマルタイヤで行くには少し勇気がいりますが、基本的には冬の間も完全除雪が建前ですので、皆さんもドライブがてら、五合目まで出かけて見るのも面白いかと思います。雪をかぶった南アルプスの山々が目の前に連なって、景色も最高です。ちなみに、有料道路のお値段は、普通車往復で2300円でしたが、その程度の料金は払う価値があるかなと思います。  

ところで、今週末は北アルプスの西穂高岳へ登りに行く予定なのですが、ちょっと天気が悪そうなので心配です。とりあえず松本まで入って、あまり悪い様だったら八ヶ岳へ転進するつもりですので、この放送が始まっている頃にはどちらに行ったか決まっている事でしょう。西穂高岳は、冬は困難な山域になる北アルプスの中でも、比較的手軽に登れる山の一つです。もっとも、手軽と言っても北アルプスの中でですので、八ヶ岳やその他の中級山域に比べれば困難なやまではあります。また手軽に登れるという意味は、岐阜県の新穂高温泉 から、真冬も営業をしているロープウェイで、一気に2000メートル以上の北アルプスの雪山まっただ中まで運んでもらえるからでした、けして山が簡単という意味ではありません。それでも、ロープウェイであがった後は、標高差300メートルほどを登れば、西穂高岳山荘という立派な小屋が通年営業しているので、エスケープをするにも最適という事になります。稜線は、独標というピークまでは比較的穏やかな尾根ですが、ここから先、西穂高岳の山頂そしてその先につづく穂高連峰の峰峰はとても急峻な岩尾根となっていて、経験者でないとなかなか通過できないコースとなっています。ロープウェイの駅まででしたら、まったく山登りの経験がない人でも手軽に行けますので、未経験者が、厳冬期の北アルプスを体験するにはいい場所だと思います。今回は、土日で西穂まで登って来る予定ですが、さてどうなる事でしょう。また、北アルプスの天候が悪い場合は、八ヶ岳の赤岳に登るつもりでいます。実は、赤岳は西穂よりも行程的にはキツイ山ですが、北アルプスと違って八ヶ岳は、北アルプスが冬型の気圧配置で大荒れ状態でも、太平洋側の影響を受けて小雪が舞う程度の事が良くあります。気象条件的には、やはり八ヶ岳の方が楽だという事になります。但し、八ヶ岳も荒れる時は荒れますし、独立峰ですから寒さと風は一級品です。ですから、どちらに行くにしても、雪山を楽しめる事には変りがありません。  

さて、今年は本当に雪が多くて、私だけでなく喜んでいる人も多いと思います。しかし、山登りが好きだという方、夏場は高い山に登っている人でも、雪山はちょっと怖いかな、と思っている人は多いと思います。お正月になると、毎年のように遭難のニュースが流れたりしていますから、雪山=危険とか、雪山=怖いと思ってしまうのでしょう。私も実は、雪の山に登りはじめるまでは確かにそうでした。なかなか取っつけないのが雪山でしょう。しかし、初めてしまうと、その魅力にとことん取り付かれてしまうのもまた雪山です。それほどに魅力があるのが、雪をかぶった山です。但し、危険な危ない山も確かにあります。その困難さを求めて入山する事もありますし、それが又、雪山の魅力でもあるのですが、その雪山の中でも、比較的安全な山、そしてまったく危険でない山もあるのです。  

雪山は怖くて危険。と思っている人が多くいても、子供の頃に雪遊びをしたことがない人はほとんど居ないでしょう。この横須賀だって、極々たまに雪が積もれば、子供達は泥だらけになった汚い雪で遊んでいますし、雪合戦や雪だるま作り、まとまった雪がふる地方では、かまくらを作ったり、雪を素材にしての遊びは本当に面白くて楽しいものです。そして、実は皆さんが怖いと思っている雪山も、その雪遊びの延長線上にあるのです。子供の頃に、日が暮れるのも忘れて遊んだ雪遊びのその感覚とまったく変わらない気分で楽しめる雪山が沢山あります。本格的な雪山に入るとなれば、そこはそれなりに装備も必要ですし経験も必要になってきますが、簡単な雪遊びならば、防水の利いた手袋と長靴と、そして防寒具さえあればいつでも遊べます。  まあ、この横須賀では、雪遊びは滅多に出来ませんが、雪山が怖いと思っている人は、今度どこかのスキー場にでも行った機会に、長靴と手袋をはめて、スキー場から一歩外に出てみましょう。そこが森の中でも、樹林帯を抜けた高い山頂でも、きっとすばらしい世界が待っています。

雪が大好きな"山岳一級遊び人" 川名 匡でした。ではまた。

 

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