2002.10/10up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(2001.12/08放送)

冬の醍醐味

寒く寒くなりました。皆さん風邪などひいていないでしょうか? 
私はと言いますと、冬本番ますます快調と言いたいところなのですが、やっぱりちょっと寒いですね。
早く冬山へ行って暖かくなりたいです。
と言うのは、皆さんが想像する冬山って、結構寒いだろうなぁと思うでしょうが、実はそれなりの装備をしてなおかつ身体を動かしていると、結構暑く感じるものです。テントに入っても、暖房をガンガンしますし、練る時はフカフカの羽毛シュラフに入りますので、実はあまり寒さを感じない、というか、寒さを感じる時が少ない訳です。冬山に入っていて、一番寒さを感じるのは、まだ身体が暖まっていない早朝出発の時と、トイレに行く時位です。さすがに、マイナス20度の世界でトイレに行く時は寒さを感じますが、それだけはどうしようも無いので我慢我慢です。  

逆に、こうして横須賀に居る時は、以外とあまり暖かい格好をしないで、うっかりとパソコンに夢中になっていたりして、気がつくと身体の芯まで寒さがしみこんでいたりします。こんな時は、しばらく布団の中で震えていたりします。

さて、先週は富士山の外輪山の一つである、三つ峠という山に登って来ました。この山は山頂部分に、高さ百メートル程度の岩場を持っていて、岩登りのゲレンデとなっています。岩ゲレンデと言うのは、谷川岳や穂高岳などの本格的な岩場に登りに行く前にトレーニングで登る岩場という意味です。横須賀の鷹取山なども、首都圏では貴重で尚かつ有名な岩ゲレンデですが、三つ峠はゲレンデと言うにはちょっと規模がでかくて、本番の岩登りと言ってもおかしくない程の大きさです。今回もトレーニングで登って来ましたが、冬場でも雪が少なく、実際に今回はポカポカ陽気の中で、雪もまったくありませんでした。一日楽しんで来ました。大月からJR中央本線と別れている富士急行の"三つ峠"という駅でおりて登る、ハイキングコースもあって、ハイカー達でにぎわってもいました。 そして、三つ峠に行った訳はこの岩登りトレーニングの為でもあったのですが、実はそれだけではありません。この土曜日に、富士山へ行く為の下見の意味もありました。この時期の富士山については、もう何度もお話しをしていますが、私たちのように冬山を目指す者にとって、この時期の富士山はとても重要な存在になっています。それは雪上トレーニングとしての富士山です。比較的早い時期に積雪があって、トレーニングに適した広い雪の斜面が有り、交通の便もいい。となるとやはり富士山がグンを抜いて適地となります。今回も、その富士山の大体6合目から7合目付近で、雪上トレーニングを実施します。雪の斜面での基本的な歩き方から、アイゼンと言う、凍り付いた斜面を上り下りする為に登山靴の底に装着して使う道具の使い方などをトレーニングします。また危険な急斜面を登る時に、安全のためにザイルを使う事もあり、このためのザイルワークのトレーニングもします。こうして、主には"滑落"という、雪山に登る登山者にとっては雪崩と並んで事故数の多いアクシデントを未然に防ぐためのトレーニングをやりに行く訳です。今回は、6合目辺りにテントを張りますので、日中の雪斜面でのトレーニングだけでなく、あまり雪山の経験がない人にとっては、雪上での生活と言いますか、テントを張ったり、そのテントの中で食事を作ったり食べたり、そしてタダ練るだけでも、いい経験とり、トレーニングとなります。 先日の三つ峠からの偵察の時には、五合目辺りまで白くなっていましたが、今週にまた雪が降ったようで、現在は4合目付近まで雪が有るようです。ここのところ、雪の少ない富士山ばかりだったので、久しぶりに沢山の雪にまみれての富士山が味わえそうで期待しています。

ところで、我々が富士山でトレーニングをする時には、吉田口の1合目にあたる、馬返しというところから登ります。吉田口には、五合目まで通年営業の富士スバルラインという立派な道路が有るのになぜかと言うと、下から重い荷物を持って登ることがすでにトレーニングとなるからです。山が嫌いな人から見れば、バカの様な話ですが、汗水垂らして山に登る事が、我らにとっては楽しみの一つとなる訳です。ところがですね、今回はスバルラインを使って五合目まで車で上る事になってしまいました。なぜかと言うと、年をとってやっぱり登りは少しでも少ない方がいいと思ったのかというとそうではなくて、実は最近、その馬返しの登山口に車上荒らしが横行しているとのことて、被害に遭った車も少なくない様です。実際、馬返しまで行ってみると、何にもない山の中に、駐車スペースの広場が有るだけで、登山者がにぎわうのは早朝と夕方だけ、遅い午前から昼過ぎまではとても静かな"人気のない場所"になります。そこで、登山者が駐車してある自家用車のドアをこじ開けるだけでなく、フロントガラスを割ったりして、中に置いてある貴重品を盗んでいく様です。貴重品が無い車も、念のためと言うのでしょうか壊されてしまうので、たまったものではありません。すでに警察も動いている様ですが、そんなわけで、泣く泣く今回は、スバルラインを使う事になりました。こういう迷惑なやからは、早く捕まって欲しいものです。

馬返しから五合目までの登りが約3時間。30キロ前後を担いで登るのはちょっときついです。まあ、ちょろっとお話しすると、ちょっと、ほんの少しはホッとしている訳ですが、そんな事はメンバーの中ではおくびにも出さす。「ああ〜残念だなぁ」と見栄を張っています。

と言うわけで、帰りましたらまたご報告しましょう。

雪が大好きな"山岳一級遊び人" 川名 匡でした。ではまた。

 

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