1999.12/15up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(1999.12/18放送)

年の暮れに ヒマラヤ登山の夢


 先日は雪のない富士山をあきらめて、現在もバンバン降っている谷川岳は天神平へ、この冬の山登りのための雪上トレーニングに行って来ました。本格的な冬型が続いていて、到着した時も、そして三日後の下山の時も雪は降り続いていました。積雪量は稜線で1メートル50位だったでしょうか? 毎回この時期のトレーニングは、少ない雪でやっていたのですが、今回だけは勝手が違って、腰まである雪をかき分けてのトレーニングとなりました。でも、谷川岳には、毎年3月頃に出かけていて、そのころは3メートル以上の積雪ですので、そのころに比べればまだまだ少なく感じてしまいます。ブッシュもまだまだ出ていて、結局トレーニングができるのはスキー場の斜面だけで、スキーパトロールに注意をされながら隅っこで細々とやりました。
  しかし、今冬初めての雪に囲まれて、十分に楽しんだのもまた事実です。三日目にやっと少しだけ顔を出した谷川岳も真っ白で、なかなかいい眺めでした。 さて、今年もあとわずかです。今年一年も色々な山に登って沢山楽しみましたが、来年も頑張って登ろうと思っています。そこで今日は、私が来年に予定している山のお話でもしましょう。

 まず、実は来年、私にとって初めての海外登山があります。まだだいぶ先の話しで恐縮ですが、来年2000年の秋、ネパールはランタン山群の一つ、ランシサ・リという山に登に行きます。標高は6412メートル。7000メートル峰や8000メートル峰に比べれば見劣りしますが、色々と資料を調べるとなかなか面白そうな山で、今からワクワクしています。
 日本の山に登るのとはスケールもだいぶ違い、登山を始める前にまずキャラバンを組んでトレッキングをしなければなりません。これだけで一週間です。その一週間で、山里の村々に泊まり、標高の高い高所に登るための高所順応トレーニングもします。そしてやっと登山基地とする場所に到着。そこにBC、つまりベースキャンプを作って、やっと登山の始まりです。登山期間が二週間。その二週間で、アタックキャンプへの荷揚げとか、危ない場所に命綱を張るルート工作などをして、最後に山頂アタックとなります。
  ベースキャンプから山頂までの高度差は約2000メートル。この2000メートルを二週間かけて登るわけです。はたして登れるでしょうか? 正直言ってまだ自分でも半信半疑なのですが、絶対登るという強い意志がなければ登れないのがヒマラヤの山だそうですので、これからみっちりとトレーニングを積んで、是非是非登りたいと思っています。ですから、来年のヒマラヤ出発までの山登りは、ほとんどその為のトレーニングに費やします。
  まず冬の間にしなくてはならないのが雪上技術と氷上技術です。氷上技術と言うのは、氷の上での行動技術で、海外の標高の高い山にある氷河の登山技術です。日本には残念ながら現存する氷河はありませんので、国内でのトレーニングはもっぱら凍り付いた滝登りです。毎年この時期になると、日光の袋田の滝など有名な滝が凍り付いて、その凍った滝を物好きなクライマーが登っている姿がテレビニュースに映りますが、今冬はそれを重点的にやらなくてはなりません。実際に登るヒマラヤの山は、最終キャンプから高度差約800メートル、最大斜度70度の氷の壁です。国内にはそんなスケールの斜面はありませんので、実際にどんな斜面か、行ってみないことには分かりませんが、今から楽しみ…ではなくてハッキリ言ってビビッてます(^^;。その恐怖を少しでも克服する為に凍り付いた滝で、何度も何度もトレーニングする必要があります。もっともトレーニングする滝は、高度差せいぜい20メートル程度です。

 さて日本の冬が終わって、雪氷技術のトレーニングもできなくなったら、今度は体力アップのトレーニングです。今の私の体力では、どう転んでもヒマラヤの高みは無理ですので、一年かけて何とかしなくてはなりません。特に夏などはこの体力アップの為のトレーニングが主体となるでしょう。そして最後に、一番重要なトレーニングが高度順応です。当然ヒマラヤの6000メートルまで登ると、空気は地上よりもだいぶ薄くなります。その為の高度障害、いわゆる高山病にかかる訳ですが、これも、できるだけ高い山に登ることで、体を慣れさせる事ができます。そして、日本国内で一番高い山と言ったら、そう富士山です。もっとも富士山でもまだ3000メートル近くも足らないのですが、それでも登れば確実に高所トレーニングになるそうです。ですから、来年は何度も富士山に登る事になるでしょう。
  よく富士山を"一度も登らない馬鹿に二度登る馬鹿"と言いますが、来年の私はさて何度馬鹿になるのでしょうか。

  と言うわけで、来年の山に遊ぶ、この放送も、所々でヒマラヤ登山の話が入ると思います。結局登れずに皆さんに慰めていただくか、それとも成功するか、まだまだ何も分かりませんが、もしできましたら、皆さんにも是非応援していただけたらなと思います。どうかよろしくお願いします。

 まず私がやらなくてはいけないことは、このボテッと出っ張ったお腹を引っ込める事ですが、それを無情にも阻止しようとする今日この頃の相次ぐ忘年会シーズンですが、もし私と、飲み会にご一緒する方がお聞きでしたら、是非ビールなどをついでくれないように、くれぐれもお断り致します。つがれれば絶対に飲んでしまいますから……


雪が大好きな 山岳一級遊び人、川名 匡でした。ではまた



 ← 前週の放送    トップページ    次週予告 → 


E-Mail : Tadashi Kawana [Copyright(c)1999]
槍ヶ岳