富士山を初め、北アルプス等の標高の高い山への初冠雪の話題が相次いでいる今日この頃ですが、
皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
先日はポカポカ陽気になったりして、心配していたのですが、どうやら日本列島に寒気団もおりてきているようですので、また寒くなってくれるかなと、一安心です。暖かい方が好きな人にはごめんなさい。冬が大好きな私です。
さて先週は、この時季山に登るための、つまり初雪に降られるかもしれない時期での装備のお話をしましたが、今日はどうやって動くか、行動編のお話をしましょう。
これからの時期、冬場豪雪地帯となる山だけでなく、太平洋側のたとえば丹沢辺りでも雪が降る事があります。ただ、太平洋側の山は降ってもまだまだ沢山積もって歩きにくくなるような事はありません。また雪そのものよりも、降雪と同時に気温がグッと下がった時の着るものの対策が必要になってきます。また温暖な地域での降雪はべたついた湿気の多い雪がほとんどですので、積もった雪も溶けやすく滑りやすくなっています。ですから、特に下りでは軽アイゼンやストックなどの補助具を使って慎重に降りるようにしましょう。また着るものですが、やはりべたついた溶けやすい雪ですから、防寒対策と共に防水性能のいい上着が必要になってきます。
さてこの時季の雪で厳しいのが、冬場豪雪地帯となる地域です。雪が沢山積もる地域というのは、晩秋の雪も半端な振り方はしません。一晩に50センチ積もる事もけして珍しくなくて、それほど積もると、登山道は完全に雪の下に隠れてしまいます。ですから、特に11月に入ってからそんな地域の山に出かけるときは、たとえ今、積雪が無いという情報があって、当日も晴れるという天気予報があっても、ピッケル・アイゼン・防寒具等の冬装備を持っていかなくてはいけませんし、登山道が消え失せても、ちゃんとルートを把握して下山出来るだけの技量を身につけているか、又はそんな技量を身につけている人に連れていってもらわなければ、安心して登ることは出来ません。登山コースも初めて行く山あるいは初めての道では無くて、出来れば何度も歩いているような場所を選んだ方が無難です。何事も無ければ夏の山と全く変わりがありませんが、やはり夏山よりもワンランク上の山と考えた方が無難です。
では具体的な行動の仕方ですが、まず経験者がそれ自体を目的として入山する場合を除いて、雪が降るという予報が出ているときには山に行かない事が一番です。で、山を登っている最中に雪が降り出し、そして段々と積もってきた場合です。たとえば廻りの木々に軽く冠雪しているが登山の土はまだ見えている状態でしたら、雪景色を楽しみながら、それでも予定しているコースをまだ半分以上消化していない場合は素直に戻りましょう。今後どれだけ降って積もるか分かりませんので、それが無難です。登山道が消えてきても、登山靴で踏んだ跡に土が出ている状態でもまだ大丈夫です。雪がない時と同じように下れますので慌てず急いで下りましょう。雪がない場合と違うコンディションになるのは、登山靴で踏みつけても地面が出てこない程積もった状態です。更にバンバン降っているようでしたらこれはもう冬装備の出番です。軽アイゼン等を付けて、ストックを突き、慎重に下ります。その場合、降雪により視界が悪くなり、登山道も隠れだして地形も変化してきて、足下ばかり見て歩くようになり、更に気持ちが焦ってきて、結果として道を間違えたりする事が通常よりも非常に多くなります。また間違えたと分かって引き返す場合も、普段の地形と違うので更にあせって間違えます。こうなると悪循環ですので、視界が悪くてもしっかりと前方を把握しながら一歩一歩確実に歩いていきましょう。雪上歩行の基本は足の裏全体を踏みしめて、一歩一歩確実に体重つまり重心移動をして歩く事です。いつも歩いている時のように、スタスタと歩いていると確実に転びます。良く都会に大雪が降ると、決まって転んで怪我をする人のニュースがありますが、これは基本的な雪上歩行の動作で歩いていないからです。雪上歩行の一番のポイントは、身体の重心移動の瞬間の動作で、後ろ足から前足に重心移動する場合、両足に体重が分散する瞬間を出来るだけ短くする事。つまり、パッ・パッ・っと瞬間的に身体の重心を移動するという事です。歩行中は、この両足に体重が分散している瞬間が一番バランスが悪く、不安定な時で、まだ後ろ足方向に上半身の重心があるのに前足に体重をかけようとした瞬間に前足のかかと部分が滑って転ぶ場合が一番多いのです。またこれは特に下りの時、後傾姿勢つまりへっぴり腰になっていると顕著に現れます。下りは出来るだけ重心を前に倒しながら、瞬間的な重心移動で下って下さい。
さて、私はこれから富士山の外輪山の一つ、三ツ峠という山に出かけます。三ツ峠はまだ雪は無いと思いますが、晴れれば富士山の雪景色がバッチリ綺麗に見える場所ですので楽しみです。
山岳一級遊び人、川名 匡でした。ではまた。
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