1999.12/15up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(1999.10/23放送)

初雪便り 〜装備編〜

 おはようございます。ホントに寒くなってきました。

 まだまだ寒さに慣れていない身体ですので、冬用の上着などを羽織って外出しています。
 地球がほんのちょっと傾いただけでこんなに違うものかと、今更ながらビックリしています。さてそうこうしているうち、富士山も真っ白になりました。富士山以外の山でも、3000メートル以上の山では軒並み初冠雪の便りが届いています。今日はそんな高い山での秋から冬への移り変わりのお話をしましょう。

 私もこの時季に、2000メートルにも満たない稜線で大雪に降られた経験があります。その時はテント泊まりで前日まではとっても綺麗な紅葉の秋景色だったのが、夜が明けてみると50センチもの新雪が積もっていてビックリしました。登山道は全て雪の下で、便りになるのは地図だけでしたので、あの時視界が無かったらはたして下れられたかどうか疑問です。その時は場所によっては腰までのラッセルまた別の時、最初はやはり何も積もっていない登山道が、歩いているうちに雪が降り出してドンドン積もり、ほんの2〜3時間で真っ白な雪景色となって、最後はひざまでラッセルとなってしまった事もあります。もっともこの時季のそんな大雪は、滅多にあるものではありませんが、万が一の準備も必要です。たとえばこれからの季節、2000メートル以上のしかも冬は豪雪地帯となる山に登るときは最低限、軽アイゼンとストック位は用意します。
  ストックは、ハイキングだけを楽しんでいる方達でも持っていることが多いと思いますが、軽アイゼンまでは少ないかと思います。これから秋も終わって冬になっても、低山の比較的暖かい場所にある山でしたら本格的な冬装備がなくても楽しめますが、軽アイゼン程度は必要になるものです。是非この時季に用意されて置くといいでしょう。軽アイゼンが一番役に立つのは、雪がバンバン積もっている場所よりも早朝の凍り付いた登山道です。本格的な冬山に登るのでしたら、やはり登山靴のそこの部分全体を覆う本格的なアイゼンが必要になります。
  さてそしてこの時季、もし2000メートル以上の山に登るのでしたら、天気が悪くなれば雪が降る可能性が大ですから、やはり本格的なピッケル&アイゼンを持参します。もっとも近年は雪が少ないのですが、私も10月下旬から11月にかけては、目的の山に積雪が無いという情報があっても、一様持参しています。ほとんどの場合、ただのお荷物ですが、それでもいざという時の用意は怠ることが出来ません。それに、ピッケルアイゼンのお手入れをし出したら、そろそろ雪の便りが来て、あっと言う間に私の大好きな、本格的な冬になるなぁとしみじみ思えます。
  もう一つ、この時季に必要なのはウエアー類です。夏の登山は汗対策を主にしたウエアー類、つまり速乾性の良いものが支流ですが、これからの季節は保温性を一番に考えなくてはいけません。ただ、登山は冬場でも汗をかく運動ですから、保温性プラス速乾性も兼ね備えたものを着ます。下着や中間着も、夏のものから冬物へ移行します。また登山中は必要でなくても、休憩時間や夜などには寒いので、ちょっとした防寒具も必要になってきます。少し厚めのフリースや薄手の羽毛服などを用意すれば冬場にも使えて便利です。また、雨具の重要性も増します。この時季に雨具無しで、秋の冷たい雨に全身濡れてしまったら、これはもう命取りです。性能のいい雨具を用意しましょう。

 最近、無謀な登山者という見出しが頻繁に新聞をにぎわしています。山は楽しく登りたいものです。その季節にあった装備や登り方を心得た人だけが、山に登る資格があります。ちょっと怖い思いをするだけでしたら、勉強にもなりますが、死んでしまったらおしまいです。皆さんも心して山登りを楽しみましょう。

 さて引き続き、皆さんの山に関するご質問や、この番組のご感想をお待ちしています。
宛先は、 〒238−0008 横須賀市大滝町2−20 FMブルー湘南  FAXは、0468−21−3511
そして、山に遊ぶのホームページは、 http://member.nifty.ne.jp/t_kawana/ です。
ホームページにいただいたご質問は、この番組でも放送させていただきますのでよろしく。
そしてわたしのEメールアドレスは、t_kawana@da2.so-net.ne.jp です。こちらにもご連絡下さい。

皆さんのお便りをお待ちしています。よろしく。

 ところで今週の私ですが、山登りはお休みです。ピッケルアイゼンのお手入れに専念します。そして来週は富士山の近くにあります三ツ峠という山に岩登りのトレーニングで入ります。秋も深まったこの時季、雪をかぶった富士山と紅葉が楽しみです。そしてうんと先のような話ですが、再来週は北アルプスの西穂高岳に登りに行きます。雪に出会える可能性は半々というところでしょう。さて今週は装備のお話をしましたが、来週は初雪が降る頃の"行動編"です。新雪の中での歩き方やテントでの生活のお話をします。
 先週の谷川岳一ノ倉沢は、やっぱり天気が悪くて登れませんでした。一般ルートと沢の出合巡りのみして来ましたが、この時季それもまた楽しかったです。紅葉は山頂部分がまあまあでしたが、下の方はまだ早かったので、今週あたりが見頃ではないでしょうか。食欲の秋、ゆっくりのんびりの山が食べ頃です。

山岳一級遊び人、川名 匡でした。ではまた。




 ← 前週の放送    トップページ    次週予告 → 


E-Mail : Tadashi Kawana [Copyright(c)1999]
槍ヶ岳