1999.10/06up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(1999.09/04放送)
夏山報告(3) 〜燕…常念編〜
先週は北アルプスの燕岳から常念、蝶ヶ岳というコースをホントに久しぶりに歩いて来ました。
このコースは実に10数年ぶりだったのですが、まずまず景色も見られて、楽しい山でした。今年の夏はこれで三回北アルプスに登りましたが、夏山行の締めくくりとして、最終日には快晴の中、この夏に登った山々がよく見えて、感無量の下山でした。今日はその燕岳から常念、蝶ヶ岳縦走登山のご報告をします。
行ったのは8月の25日から29日にかけての5日間です。このコース、頑張れば3日で歩けますので、かなりのんびりとした行程でした。この山行、実は山岳雑誌の山と渓谷社で主催する、ヤマケイ登山教室という催しが毎年この時期に行われているのですが、北アルプス南部に数コースに別れる催しの中の1コースとして実施しました。今回私はこの燕コースのツアーリーダーとして参加させてもらいましたが、さすがに全国から参加したヤマケイ読者の方達は一目見て初心者という方はいなくて、年齢層も20代から60代と幅広く、とても楽しい山行となりました。初日は燕岳への登山口、中房温泉に泊まり、露天風呂三昧でした。その昔、中房に泊まった時は確かそんなに沢山のお風呂は無かったはずなのですが、やはり温泉ブームの影響なのでしょう、素朴な露天風呂から豪華な内風呂、大きな温泉プールまでと、色々な種類のお風呂が沢山できていて、明日山に登ることなど忘れてしまうくらいに長湯をしてしまいました。おかげで翌日登り始めは、体も足も何かこうだるくて、ちょっと辛かったのですが、そんなこと、リーダーとしては言えませんので、知らん顔で登りましたが、実はだるくてしょうがなかったのでした。中房温泉からの登りは、合戦尾根というきつい尾根登りです。途中、丁度いい場所にベンチが設置されていて、休みも適当に取れますので、数時間の登りではありますが、そんなにきつくはありません。私達はゆっくりと半日かけて登り着き、燕岳への稜線にある燕山荘という山小屋に到着。その後荷物を置いて空荷になって往復1時間ほどの燕岳まで足を伸ばしました。燕岳周辺は、可愛い駒草の群生地で有名ですが、時期的にチョット遅くて、確かに一面駒草だらけという景色は見られましたが、一様に皆しおれていて、ちょっと可哀想な景色でした。あと半月早く来たらとても綺麗だったろうなと、ちょっと残念でした。それでも山小屋に帰り着いてから雨が降り出したので、ラッキーでした。登り着いた時には見えていた槍ヶ岳もガスの中に隠れてしまい、小屋に入ります。ところでこの燕山荘という山小屋は、とても設備が良くて、スキー場にある小綺麗なロッジという感じです。ジョッキーでの生ビールは勿論。本格的なコーヒーや手作りのケーキまであってビックリです。赤沼さんという、小屋のご主人がいれば、夕食の後、アルペンホルンの演奏も聴けるのですが、今回は残念ながら下山されていてダメでした。
さて翌日、朝からあいにくの雨でしたが、めげずに出発。目指すはまず大天井と書くオテンショ岳です。燕山荘からの稜線は、大した上り下りもない稜線ですので、雨さえ降らなければ鼻歌混じりの快適なコースですが、今回は雨だけでなく風もかなり強く吹いて、結構大変なコースでした。それでも順調に大天井を通過、お昼過ぎには次の宿泊場所の常念小屋に到着しました。到着して直ぐに雨が止んで、薄日まで射してきていい天気になりました。でも風だけは強かったです。この常念小屋は、今年で創立80周年だそうで、宿泊者全員に等しナンバー入りの木製キーホルダーをいただきました。食堂も、80周年記念と言うことで、何杯でも飲み放題のジュースが置いてあったり、とてもサービスのいい小屋でした。さて登山を始めてから3日目は、まず朝一番で常念岳への登りから始まります。時間的には1時間チョイなのですが、高低差約400メートルの登りは、寝起きの足にはちょっときつかったです。それでも、常念山頂からは、北アルプスの山々が見渡せてとても気持ちが良かったです。この山頂からは今日の目的地の蝶ヶ岳も見えますが、遠くに見えるのを確認してしまうと、なぜかうんざりとしてしまうもので、景色がいいと言うのも考え物です。常念の山頂からは、この登山教室の別コース組との無線交信をしたりして、面白かったです。この日、同じヤマケイの仲間は全コース会わせて200名ほどがそこいら中にいて、なかなか楽しく交信しました。さて常念から登ったのと同じ高度差400メートルを一気に下って、また稜線歩き。最後はガスに包まれて蝶ヶ岳ヒュッテ到着です。この山小屋は、お父さんの後をついだ若い女性が小屋主で、小屋の雰囲気もそこかしこに女性らしさを感じます。特に新館の新しいトイレが綺麗でした。ここでも、到着後に生ビールのジョッキを飲み交わしたのは当然です。
さて今回は登山教室ですから、歩いている最中も、そして小屋に到着してからも時間を取って、色々な山のお話をしました。山の歩き方や装備のお話、そして参加の皆さんからのご質問等々、なかなか有意義な時間だったと思います。山の景色はそこそこ見えていたのですが、肝心の槍穂高の稜線だけは厚い雲に隠れて見えませんでしたが、なんと最終日の朝、その雲も取れて風も治まり、槍穂の素晴らしい景色も堪能しました。下山はゆっくりと上高地まで下りましたが、さすがに上高地は観光客が多くて、一気に都会に戻ってしまった感がします。
結局、中2日は雨に降られましたが、雨の登山もまた楽しいとか、皆さんせっかくの登山教室ですから、山の雨風も味わえて、とてもいい山登りでしたねと言い続けたら、どうやら私は雨好きの山屋と見られてしまい、参加者の一人の方が、「雨の中ひとり喜ぶ川名リーダー」という唄まで作られてしまいました。
さて、こんな感じで、私の夏の山登りは終わりましたが、さて今度は楽しい秋の山登りが始まります。
次の予定は奥秩父ですが、キュッと引き締まった秋の空気を早く感じたいと思っています。
山岳一級遊び人、川名 匡でした。ではまた。
E-Mail : Tadashi
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