1999.6/24up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(1999.06/12放送分)

越後湯沢通信(1)

 先週は、息子の通っている中学の2年生のみんなと先生も含めまして総勢百数十名という結構な大人数で、仏果山(ぶっかさん)に登ってきました。東丹沢の外れにある山なんですが、標高が747Mと手頃な高さの山です。昨年に次いで今年で2回目になるんですが、中学校のキャンプがありましてそれに飛び入り参加してきたわけです。

 去年は雨が降り、最悪の条件でみんな苦労して登ったんですが、今年は天気も良くて、とっても気持ちのいい山歩きができました。本厚木からバスで40分くらい行った所に「愛川ふれあいの村」というキャンプ場がありまして、そこが登山口になっています。その登山口から高取山(たかとりやま)へ登りまして、そこから仏果山までの稜線歩きが楽しめます。
 ちなみに「たかとりやま」というのは横須賀にもありますが、横須賀の場合は「鷹取山」と書きます。ゆっくり歩いても全行程4時間くらいの手軽ないいコースだと思います。皆さんも機会がありましたら登ってみてください。私たちなんですが、登山の後はみんなの中に入りまして、バーベキューなどもやらせてもらいまして、結構楽しい1日を過ごせました。

で、楽しい山登りの翌日には、「苦しい」という程でもないんですけれども今度はお仕事の山に来ました。 「来ました」というのは、実は今、新潟は越後湯沢の山奥に来ています。横須賀にもなかなか帰れない毎日ですので、今回はこちらから声のお便りを出すことにしました。これからは、こんな形での放送も何度かあると思いますので、皆さん、よろしくお願いします。m(..)m

 さて、こちらはまだまだ「春真っ盛り」です。
皆さんの住む横須賀では、そろそろ梅雨に入って梅雨が明ければ「夏」という感じなんでしょうけれども、まだまだこちらは「春」といったところです。山の中に入りますと、沢筋に残雪を見ることもできます。そしてブナ林の新緑がとってもキレイでして、真っ青な空をバックに木漏れ日がキラキラと輝く時も、濃い霧の中にうっすらとシルエットが見える時も、雨上がりに森全体がしっとりと濡れた時も、ブナというのは本当にキレイな木です。太くてスベスベした独特な模様の幹とか、ポテッポテッと丸みを帯びた愛敬のある葉っぱも、何となく心を和らげてくれます。山奥に入りますと、私の両手を広げたくらいでは届かない太さのブナが結構たくさん居ます。ちなみに私のリーチは190cm近く(正確には186cm)はありますので、その幹の太さが解るかなぁと思いますがいかがでしょう?
 それと「大御所」といいますか、古い大木ばかりではなくてとっても若いブナもたくさん居ます。ちょっと細めなんですけれども、素直にスルッと伸びた彼らというのは「若さムンムン」という感じでして、見ているだけで元気が出てきます。そんなブナたちに毎日囲まれて云いますか、お邪魔して山に入ってはいますが、一緒に居るだけで彼らの生命力の一部を吸収させてもらっている気分になります。
 山は朝夕とっても涼しくて、半袖では寒くて居られません。日中に日が出ても、木漏れ日にそよ風が吹けば、登りでかいた汗もスッと乾いてくれますし、思わず昼寝でもしたくなってしまいます。毎日毎日、土日も関係なく同じ道のりを2時間ほど登りまして、ようやく仕事場に辿り着きます。同じ道なので、毎日同じ景色が迎えてはくれるんですけれども気持ちを和らげてくれると云うのか、安心感のようなものも感じます。
 あの曲がり角の先には大きな木が倒れていて、いつも足を掛ける場所が少し窪んでいるのを覚えていたりとか、昨日滑って尻もちをついた所がクッキリと登山道に残っていて、その跡を見て知らず知らずのうちに右手が自分のお尻を撫でていたりとか、自分の家の庭にでも居るような気分でしょうか。非常に安心感のような、和らいだ気持ちになります。
 また、同じ道なのに、同じ景色なのに、毎日毎日少しずつ季節が移っていくのを景色を見ていながら感じていたりもします。
「山は生きているんだなぁ」といったところでしょうか。山全体が、ひとつの生命体という実感が湧いてきます。この山には1年を通じて、真冬でもずっと来ているんですけれども数日前、この春になって初めて登った時は、沢筋に思っていた以上の残雪に出くわしました。
 道は残雪のある沢筋を数箇所渡りながらグングン登っていくんですが、雪の上を歩くとスゥーーッと涼しくなって、しっとりかいていた汗が引いていきます。その残雪も、日に日に少しずつ減っていきます。もっとも、大きな沢筋の雪というのはとても多くて、よほど本格的な雨でも降らないと減りそうもないんですが、ほんのちょっとした日陰に残る雪というのは、毎日見ているとホントに少しずつ減っていくのが解ります。そんな事を考えながら、毎日毎日山を登っているわけです。
 それとフキノトウはもうチョット遅いかなというところですが、山菜は今が真っ盛りでして、お浸しにして食べると美味しい「ユキザサ」とか、「ウド」「タラノメ」「タケノコ」なんかもニョキニョキと出てきています。ですから仕事の合間にちょっと収穫しまして、宿に帰り着いたらビールのつまみになってくれる・・・・こういうわけです。(^^;;;

というわけで、
今日はとりとめのない話をダラダラとしてしまいましたが、次週は多分・・・おそらく横須賀に帰っている「はず」ですので、この放送も横須賀からお送りしたいなと思っています。皆さんからのお便りもお待ちしております。

ブナの森にて
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横須賀市大滝町2−20 FMブルー湘南 川名 匡の「山に遊ぶ」まで。
FAX:0468−21−3511

インターネットでのご質問は t_kawana@so-net.ne.jp までお願いします。m(..)m


皆さんが山に行ったお話とか、山に関するご質問とか、
色々なお話をお待ちしておりますのでよろしくお願いします。

新緑のブナの山が大好きな  一級遊び人 川名 匡 でした、ではまた。。。




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