1999.5/18up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(1999.05/15放送分)
焚き火のすすめ
日に日に暖かくなってきまして、日中は半袖一枚でも過ごせる陽気になりました。もう五月も半ばですから当たり前の話ですが、それでも季節の移り変わりはめまぐるしいくらいに早くて、私などは取り残されてしまいそうです。ちょっと外出する時に、パッと羽織った上着が暑くてしょうがなくなったり、はいつものことですが、やはり私はどちらかというと寒い方が好きみたいで、これからの季節が思いやられます。で、そんなときは高い山に登って涼しさと言うか、寒さを味わうと言うわけです。でも、まだ今の季節はそんなに暑くはありませんね。ちょうど過ごしやすい、一年中で一番いい時期でしょう。山に登ればまぶしい位の新緑が迎えてくれますし、吹く風も肌に優しいです。こんな時期、私はいつもキャンプをします。キャンプと言えば真夏がシーズンですが、特に低山でのキャンピングは実はこの春や秋が一番です。キャンプといえば、最近は整備の行き届いたキャンプ場が沢山あるそうで、聞く話によると、テント一張り何千円も取られてしまうそうですが、私はそういう場所ではあまりテントを張りません。山登りの時のテントは、ほとんどの場合そのルート上にある幕営指定地に張るわけで、そういう贅沢は言ってられませんが、テントで寝る事をメインにしたキャンピングでは、あまり整然と区画整理をされた場所に他のテントとぴったりくっついた張り方は勘弁です。最近はそんな贅沢も言ってられないですが、できれば他のテントが居ない、自分だけのキャンプサイトがベストです。山を長い間やっていると、テントを張ってのんびりとするのに最高の場所と幾つか出会います。そんなお気に入りの場所で一張りのテントを張って過ごす。これは最高の贅沢かなと思いますがいかがでしょう?
そしてそんなとき、雰囲気を盛り上げてくれるのが焚き火です。家にいればヒョイとつまみをひねれば火がつく時代に、まず火種を作って、小さな炎から徐々に燃えだしてきて、やがて本格的な炎となり、パチパチと音を立てて燃える焚き火は、なぜか気持ちをホッとさせてくれます。ですから、お気に入りのキャンプサイトに到着したら、まず私は薪(たきぎ)拾いを始めます。ただ私の場合、いつも気をつけなくてはいけないのは、ついつい大物を集めてしまう事です。沢筋を物色していると色々な大きさの流木が集まるのですが、中には一人で持ち上がらないほどのものもあります。こんなの集めていったい何日焚き火をするんだと言うような大物もあります。と言うわけで焚き火の大きさは程々に…。
焚き火はキャンプのメインディッシュです。ですから念入りに燃えやすく形のいい流木などを物色します。食べ物やお酒に贅沢は言いません。沢を流れる清流の響きと、焚き火の炎さえあれば、たとえインスタントラーメンにとびきり安いお酒でも最高の夕食会になります。食事の後、少し小さくなった焚き火を突っつきながらチビリチビリとやるアルコールは贅沢の極みです。みなさんも試して下さい。
ところで、通常、国立公園内は焚き火は禁止されていますし、その他の山でも火の後始末はしっかりとしましょう。私は焚き火が好きですが、沢筋で安全な場所でしかしません。乾燥している時期も危険です。そのためにも程々の大きさの焚き火がいいですね。
さてさて、陽気も暖かくなり、沢の水温も少し上がりました。まだまだ冷たいので、全身ずぶぬれになるような沢登りは真夏までお預けですが、そろそろ沢登りのシーズンです。私も来週末、今シーズン初めての沢登りに行きます。今回も沢登り初体験の仲間が同行しますが、沢登りを知らない人によく「沢登りってどんな山登りですか?」と聞かれます。まあ、読んで字のごとく沢登りですが、河原を永遠と歩くと言うよりは、狭い沢筋の滝を次々と登り高度を稼ぐのが沢登りのイメージです。滝は高いものだと数十メートルもある大滝も登ります。一枚岩の河床を滑り台のように流れるナメ滝もあります。子供の頃、みなさん水遊びが好きだったと思いますが、高い滝を登るのはほとんど岩登りと同じ状況になりますので、装備は岩登りとほとんど同じものを使用します。ただ、足周りだけは滑りやすい河床を歩くため、沢専用のものを履きます。沢専用の物とは一体何でしょう? 実は草鞋なんです。今は沢登り用としてフエルト底の渓流シューズもありますが、昔ながらの草鞋もまだまだ現役でガンバっています。水を吸って丈夫になった草鞋は最新の渓流シューズに勝るとも劣らないフリクションがあり、こけむしてヌルヌルになった岩を滑らずに歩けます。
また沢登りに行って来ましたら、内容等々ご報告しますのでよろしく。
さて来週ですが、私が担当する横須賀市の初心者登山教室開催一週間前と言うわけで、登山教室当日に参加の皆さんにする講習内容などをお話しようかなと思っております。
ところで、皆さんのお便りご質問など引き続きお待ちしています。
〒238−0008 横須賀市大滝町2−20 FMブルー湘南
FAX は、0468−21−3511 川名 匡の山に遊ぶの係りまでよろしく。
また、インターネットのEメールでのご質問もお受けします。
私のEメールは、 t_kawana@so-net.ne.jp です。
それでは、皆さんのお便りをお待ちしています。
新緑と滝の飛沫がさわやかな時期になりました。
益々快調 一級遊び人、川名 匡でした。ではまた。
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