1999.5/18up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(1999.03/13放送分)

クライミングウォール

昨日は、久し振りに雪が降りました。
とは云っても横須賀ではなくて、新潟でのお話なんですけれども、約10cmほどの積雪でした。ここのところ、あちらもポカポカと暖かい毎日で、ほとんど春のような気分でいたんですけれども、みっちりと冬の気分を味わってきたところです。先ほど新潟から帰り着きまして、スタジオへ直接やって来たところです。

さて、今日はですね、先週の放送でお知らせしました通り「山の質問コーナー」をしたいと思います。
幾つかのご質問が届いておりますので、今日はこの方のご質問を紹介しましょう。
三浦市にお住まいのペンネーム「カラビナさん」からのお便りです。

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 ハイキングやトレッキング程度の山歩きから、もう一歩山に近付きたい。
沢や岸壁に取り付いたり、山スキーの醍醐味を味わったり、バリエーションを持たせた山行を実施するには、どうしたらいいでしょうか? それに伴って道具は最小限、どれだけ揃えれば良いかという話になるのですが今までの山歩きから、もっと山を感じ取るために、まず私は手の届く形態から始めようと、三浦市にある「潮風アリーナ」という総合体育館に造られているクライミング・ウォールを利用してみようと思いました。しかし問い合わせてみると、未経験者が利用するには経験者同伴か講習を受けてからという規則があるため、そこで講習を受けようと講習会参加のチャンスを狙ってはいるのですが、問い合わせをした昨年の8月から現在まで、参加申し込みが少ないという理由で講習会を開く日程さえ決まらないというのが現状のようです。
 実際、クライミング・ウォールを利用している人を見た事がありません。側を通る度に、壁に向かって「今に私が抱き留めてあげるからネ」と声を掛けているのですが、せっかくの施設に利用者が居ないなんてもったいない話ですよね。クライミング・ウォールなんて公共の施設には、そうそうある物ではありませんから・・・・。
そういう訳で、クライミング・ウォールの講習の日を「まだかまだか」と待ち続けている今日この頃です。
ふと疑問に思ったのは、その際に使用する道具のことでした。クライミング・ウォールでは、靴はどうすればいいのか?ハーネスやザイルが必要なのか?自分で用意すべき物なのか、会場で用意してくれるのか?また、それらは他のフィールド(岩場)でも共通の物なのか、別に用意するべき物なのか?

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と、色々なご質問が書いてあるんですけれども、
 山登りをやっていましてステップアップ、つまり今まで登った事が無い場所、特に技術的に困難な場所に行ってみたいとか、登ってみたいとか思った時には一番手っ取り早いのは、自分がしたいと思っているジャンルの山登りを実践している人を見つけることなんです。しかし、そんなに便利な人が近くに居ないという場合は、通常は山の技術的な事を教えてくれる講習会とか山のクラブ、つまり社会人山岳会の門を叩く事になります。
 講習会も山岳会も、山の専門紙を見れば見つける事ができます。最近はインターネットなどでも沢山の情報が得られるようになりました。ちなみに、私も実は山岳会に入っております。カラビナさん、私の会でよかったら是非入会してください。(宴会もあるし)お待ちしております。
 ところで、三浦の総合体育館にクライミング・ウォールがあるという事は私も知ってはいましたが、実はまだ行った事はありません。ですから詳しい事は解らないので、一般的なクライミング・ウォールでのお話をしましょう。クライミング・ウォールというのは「人工壁」、つまり人工的に造られた岩場だという事は、皆さんもご存知だと思います。実は私が普段遊んでいる「岩登り」、つまり実際の自然の中にある岩場を登るロック・クライミングとは、実は若干ジャンルが違います。クライミグ・ウォールなどの人工的に造られた壁を短いルートだけを目的にするのは「スポーツ・クライミング」といいます。それに対して自然の岩場を、山頂に辿り着く手段として登るものを「アルパイン・クライミング」といいます。ただし、同じクライミングですから道具とか技術は似通った物もあります。アルパイン・クライミングについてはまた今度お話するとしまして、クライミング・ウォールに出掛けて、さて登り始めるというお話をしましょう。
 まず道具ですが、足にはクライミング専用の「クレッターシューズ」とか、万が一落ちた時にぶら下がる為の命綱になる「ザイル」とかそのザイルを体に固定する為のハーネスとか、こういった道具は最初は持っていなくても、殆どのクライミング・ウォールでは貸してくれると思います。ですから、まず体験するとしまして、道具は必要無いかなぁと思います。しかし一番大事な問題があります。それが「ビレイヤー」です。
 ビレイヤーというのは、登っているクライマーが転落した時に止めてくれる大事な役目をします。その為には、しっかりとした「止める技術」も必要です。ただ登るだけでしたら、簡単な岩場なら楽しく登れるんですが、このビレイ技術だけは初心者にはちょっと無理かなぁと思います。その為に先程の三浦市のクライミング・ウォールも、初心者のみの使用を禁止しているんだと思います。講習会で教えてもらう技術も、まずビレイ技術かなと思います。
 あと最小限の山の道具というお話ですが、まずは教えてもらう人から借りる事ができない物。つまりその人の足の形に合った登山靴とか直接肌に付けるウェアとかそういった物を買うのが得策かなぁと思います。その他はいろいろ先輩方に借りてしまうのが一番いいんじゃないかと思います。

 これからは山スキーのベストシーズンです。そして雪が解けましたら、沢登りとか岩登りのシーズンが始まります。三浦のカラビナさんも、是非私と一緒に登りましょう。 遊びましょっ。また、カラビナさん以外のリスナーさんからのお便りもお待ちしておりますのでよかったら一緒に登りましょう。

冬と雪が大好きな・・・そろそろ春なんですけれども(^^;;;

一級遊び人 川名 匡 でした、ではまた。。。



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