1999.5/18up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(1999.02/06放送分)
日だまりハイク(2)
私の風邪もやっと落ち着いて来ました。世間ではインフルエンザが大流行の兆しだそうですが、皆さん充分注意して下さい。
で現在、私は冬の出稼ぎ仕事でほとんど横須賀にはおりません。雪さえ降らなければ週末には帰って来られるのですが、週末に大雪が降ると私は仕事場に缶詰状態になります。仕事は、新潟は越後湯沢と言う所です。現在積雪は2メートル弱というところでしょうか。毎日のように雪に降られて、毎日のように新雪をかき分けてお仕事しています。冬でもとっても暖かい横須賀では考えられない生活を送っております。
さて、今日は冬枯れのハイキングガイドと称して、近場のハイキングをご紹介します。今日は房総半島です。房総半島は、横須賀と目と鼻の先、久里浜からの東京湾フェリーでたったの30分の距離ですので、手軽に出かけられる場所です。その東京湾フェリーに乗って金谷港を間近にすると目の前に房総の山が立ちはだかります。立ちはだかると言っても、300メートル程の山ですが、垂直の岩場が荒々しい鋸山という山です。その姿形は、名前の通りの鋸の刃のようです。鋸山の山頂へ行くのはとても簡単です。フェリーを下りたら10分ほど歩くとロープーウェイ乗り場に到着します。そしてそのロープーウェイに乗れば、所要時間約4分で鋸山の展望台に到着です。ロープーウェイからの展望も素晴らしく、東京湾の眺めから遠くに三浦半島が一望できて自分の家がどの辺りか探すのも面白いでしょう。登り着いた展望台から岩場伝いに山道を歩きます。手すりなどが整備されていますので安心です。ここは切り立った岩場がとても迫力ですが、横須賀の鷹取山などと同じ、凝灰岩(ぎょうかいがん)の石切場の跡です。この石は柔らかくて加工しやすいので、戦前までは家の土台などに良く使われていました。ちなみに戦前と言うのは、湾岸戦争ではなくて、太平洋戦争です。ハッキリ言って私は影も形も無い頃のお話です。話を元に戻しまして、岩場づたいの道を石仏などを眺めながら日本寺に到着します。ちなみにここは観覧料を取られます。ロープーウェイをおりた展望台からこのお寺まではゆっくり歩いて2時間ほどです。晴れた日のちょうどいいハイキングです。
ところで、実は以前FAXをいただいていたのですが、放送の関係でご紹介出来ないでおりました。
紫の花さんという方からのお便りです。
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川名さんの話、毎週土曜日とても楽しみにしている一人なのです。土曜日以外は9時50分に出かけるのですが、聞きたくて前日に買い置きして都合をつけています。何が好きかと言えば、自然を愛し、人に出来ない事をやる。その感動をブルー湘南を通じて分けてくれる。その話を聞いて風景を思い浮かべ、私の心をリフレッシュする。そんな心地よい時間に虜になっている一人です。それに年賀ハガキもいただき、うれしくてブルー湘南に書かずにはいられなくなってFAXしていた自分に少し気恥ずかしさを覚えました。カレンダーもありがとうございました。私の部屋に飾ってあります。カレンダーって通常、心が通っていないと感じていたのですが、川名さんのは、心臓の鼓動が、息づかいが、ピーンと張りつめた空気とかが伝わって来るのです。生きているカレンダー、大切に一年使わせていただきます。
と、ここまでほめていただくと私の方が恥ずかしくなってしまいますが、こうして毎週楽しみにしていてくれる方がいると思うと、益々頑張らなくてはなという気持ちになります。どうもありがとうございました。そして同時にご質問もいただきました。
長くなりましたが質問です。長くなってしまいましたが質問です。「ザイルとは命綱の事ですか?」「ピッケルとは先のとがったトンカチの大きいものですね?」「足場に使う釘の大きいの、あれなんて言うのですか?」「ひとり何本位用意するのですか?最後に登る人が抜きながら上がっていくのですか?それとも打ったままサボテンのトゲのように岩場に残してそのままにしておくのですか?」何か笑われてしまいそうですが、本当に分からないのです。
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と言うご質問です。
まず、ザイルと言うのはその通り、命綱の事です。ザイルとはドイツ語で、英語ではロープ、日本語では綱と言うことになりますが、登山で一般的にザイルと言うと、岩登りや冬山に使う口径8ミリから11ミリの登山用ナイロンロープの事です。ちなみに長さは40メートルから50メートルあります。標準的な9ミリ45メートルのザイルで約3キロの重さがあります。ピッケルはトンカチと言うよりもどちらかと言うとツルハシや江戸時代の火消しが使っていた鳶口に似ています。通常は杖の役目をしますが、急な雪や氷の斜面を登るときは突き刺して手がかりにします。足場に使う釘の大きいのと言うのはたぶんハーケンの事でしょう。岩登りの時に岩場の隙間に打ち込むものがロックハーケン。氷に使うのがアイスハーケンと言います。ハーケンは通常、良く登られているルートに行くときは3〜4本持参します。それは残置ハーケンと言って一度打ち込まれたハーケンはそのまま残されていて、後から登る人はそれを利用する事が出来るからです。ただし、一つ一つ安全を確かめて、抜けかかっているモノなどがあったら、持参したハーケンを打ち直します。どうですか? 分かりましたか? この放送を聞いていて、また何か分からないことがありましたらいつでもお便りお待ちしています。
ところで、紫の花さん以外にも、山に関するご質問等ありましたら、お待ちしています。番組に対するご意見やご感想もお待ちしています。皆さんよろしく。
さて今夜また、これから新潟に帰ります。はたして来週末は帰って来られるでしょうか……。
寒い寒い冬と雪が大好きな冬だけ三流仕事人、川名 匡でした。ではまた。
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