桜はあっという間に散り始めています。今年の春は気が早いというか、あれよあれよという間に過ぎてしまいそうです。
来週に花見を予定している私たちはいったいどうしたらいいのでしょう。まあ花より団子。団子と言ってもアルコールを主成分とする液体団子の摂取が主な目的ですから、葉桜でも一向にかまわないのですが、それでもそんなところで花見の宴をやっていたら、それこそ目的は団子だけと言うことがバレバレですが、まあめげずに盛り上がる予定です。
さて、あっという間にもう4月です。本当に月日が立つのは早いモノで、あっと言う間に1年1年が過ぎていきます。この先も、気がついたら夏になっていて、もうすぐに年末がやって来るのでしょう。
という中、実は5月のゴールデンウィークに、また今年も海外の山に行く計画が有ります。今年の目的は、山岳会の仲間を引き連れて、みんなにヒマラヤを体験してもらう事です。その為に、みんながお休みを取りやすいゴールデンウィークの期間中だけで行こうというちょっと欲張りな計画をたててしまいました。期間はちょうどゴールデンウィークのはじめから最後までの10日間。行くところは、2年前に私が訪れたことがある、ネパールのランタンヒマール。ランタン谷という谷の中程に位置する、"ヤラピーク"と言う小さな山頂です。標高は5520メートル。周りには6000メートルから7000メートル級の山々が立ち並んでいるので、ちょうど高い山達に、ぐるりと周りを取り囲まれた感じの丘のようなピークですが、それでも、富士山よりも2000メートル近く高い山です。本当は6000メートル峰に行きたかったのですが、10日間という短い期間内で登るには、この標高が目一杯でした。もっともこの山も、通常は2週間、14日間ほどかけて登る山です。それを今回は、ネパールへの行き帰りを除いて一週間以内で登る事になります。その行程をどうやって縮めたかと言うと、高山病の影響が出るぎりぎりの場所まで、ヘリコプターを利用してアプローチし、さらに登り終えたらまたヘリコプターでピックアップしてもらう事で、なんとか期間内で納める事にしました。それにしてもギリギリで、ちょっと冷や冷やものなのですが、がんばって登ってきます。 行程をもう少し詳しく話しましょう。
ヘリコプターはランタン谷のゴラタベラという場所にまず降ります。ここで標高が3000メートル。富士山で言えば8合目付近です。通常はネパールの首都であるカトマンズからバスに一日乗り、翌日から歩き始めて2日、つまりカトマンズからゴラタベラまで3日間かかるのですが、そこをヘリコプターで飛ぶと、なんとこれが所要時間20分ほどで着いてしまいます。初日はそこからランタン村という場所まで半日ほど歩きます。 ランタン村は、ランタン谷で一番沢山の人が暮らしている場所で、周りを山に囲まれたとても気持ちがいい場所です。標高が3540メートルあり、富士山で言えば9合目付近です。翌日はこのランタン村から、ギャンジンゴンパという場所まで歩きます。ゴンパとは寺院、お寺の事で、ここにはタルチョというお経が書かれた旗がたなびくチベット仏教の寺院が有ります。標高はここで3800メートル。富士山より高い場所に着きます。小さなチーズ工場も有って、素朴な味のチーズを食べられるのが楽しみです。このギャンジンゴンパが、人が定住している場所で一番奥で、ここから先は登山者やトレッカーしかいません。ここに一日滞在し、翌日は近くの山に高度順応の為に登ります。標高4700メートルまで、ゆっくりと登り下りをしてきます。体を徐々に空気の薄い場所になれさせていくという訳です。このギャンジンゴンパに2泊した後、いよいよヤラピークに登に行きます。まずギャンジンゴンパから最終のキャンプ地、ヤラカルカまで歩きます。ここがアタックキャンプとなります。カルカとは放牧地の事を言い、簡単な小屋が有りますが、私たちはすべてテントを利用します。そしてこのヤラカルカに一泊し、翌朝、まだ夜が明けない内に出発。その日の内にヤラピークの山頂まだ登ってそのまま下り、ギャンジンゴンパまで帰るという行程です。これがヘリを降りてから5日間。翌日はギャンジンゴンパまでヘリコプターに迎えに来てもらい、一路カトマンズに帰るという訳です。予定では予備日がさらに一日取ってありますが、都合6日間で、カトマンズ発からカトマンズ着までを消化するのですが、結構きわどい行程で、なかなかスリリングです。今回は山岳会の仲間達と合計15名で来ます。全員が登頂できるように、皆さんも応援してください。
ところで、最近はネパールも騒がしくて観光客も減っている様です。マオイストという過激派グループによる騒ぎがネパール全土で発生していて、外務省の危険地域情報でも頻繁に情報発信されています。外国からの観光客への直接的な被害は出ていない様ですが、大好きなカトマンズ市内も、午後10時以降は外出禁止令が出ていたり、ちょっと心配ではありますが、我々は早めに山に逃げて、ヒマラヤの山々を楽しんでくるつもりです。 と言うことで、4月の放送はまたネパールの事やヒマラヤの事などをお話させてもらう予定で降りますので、皆さんよろしく。
ネパールとヒマラヤの峰々が大好きな山岳一級遊び人:川名 匡でした ではまた来週。
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