1999.5/18up
FMブルー湘南
川名 匡の山に遊ぶ
(1997.07/05放送分)

初めての山

 梅雨はどこに行ってしまったのでしょう? 気圧配置を見ても、すでに梅雨明けのような感じなんですが、また雨がふるのでしょうか。雨の量は、二回の台風上陸で、現在のところ例年並だそうですけど、今年の梅雨は少し変ですね。やはり夏が少し心配です。

 さて今日は、"もう夏"と言うことで、私の初めての夏山体験をお話しましょう。
年がばれますが、初めての夏山、つまり初めての山登りですが、二十歳の時でした。もう20年も前のお話です。
ああ、ばれちゃった(^^;

 ハイ、私にとって初めての山らしい山はかの有名な富士山でした。私は富士山で山登りに目覚めてしまった訳ですが、初めての山はけして楽しいばかりではありませんでしたね。むしろ苦しさの方が多かった記憶があります。なのになぜこんなに山に浸かってしまったのか……と考えれば、苦しい中にも何かしら魅力があったからだと思います。

 まず、山登りなんか全然やったことがない仲間で富士山に登ろうという計画が出ました。そのころ、色々な所に遊びに行く仲間がいたのですが、その色々な場所のひとつとして、山登りが出た訳です。しかし全然山登りなんか分からない。すべてが初体験で、装備からコースまですべて未経験のに自分たちだけでの計画でした。ですから今から思うとどうしょうもない計画であったのですね。それでも足首まで覆う靴と懐中電灯と上下セパレートの合羽だけは用意しましたので、今から考えても、それだけは合格点でしたが。
 登山口は吉田口の五合目でした。河口湖の脇から上がっている、富士スバルラインの終点ですね。 ここですでに2300メートルあります。富士登山のシーズンはやはり夏でしょう。私たちも夏でした。 お天気が一番安定している、梅雨明け一番。梅雨明けの10日間がベストです。夏でもお盆の時期になってくると、天気も不安定になってきて、雷なども頻繁に発生するようになります。ですから皆さんが富士山に初めて登られるのでしたら、やはり梅雨明け一番。7月の下旬から8月の頭辺りがおすすめです。
 さて、我らが初の富士登山のお話ですが、吉田口から登った事がある方は知ってらっしゃると思いますが、5合目の登山口から6合目までは道は比較的緩やかです。スイスイ登れてしまいます。私たちも、スイスイと歩き始めて、「なんだ軽い軽い」とか「山頂まで一気に登るぞ!」とか息巻いていたのですが、考えが甘い事が分かったのは6合目をすぎた頃でした。6合目から登山道は一気に急斜面になります。メンバーは全部で20名以上だったのですが、一人減り二人減り、登り初めて数時間後には完全にバラバラの状態でした。個人個人のペースで個人個人が登る状態です。最終的に私は3人グループになってしまい、もう誰がどの辺を登っているのか全然分からない状態でした。夜中の12時に登り初めて、ガイドブックの山頂まで4〜5時間という言葉を信じて、ご来光は山頂で見られるつもりでいましたが、結局ご来光は本8合でした。
 夜中に登っている事もあって、眠くなり、途中で寝たりして気が付くと1時間すぎていたり、10分歩いては20分休んだり、もうペース配分はバラバラでした。そのうち頭はガンガン痛くなってくるし、気持ちは悪くなってくるしで、何度中止しようと思ったかしれません。実際、八合目までで3分の1が登るのをあきらめて下山していました。そしてやっとの思いで山頂に登り着いたのはお昼の1時を回っていました。つまり山頂まで13時間もかかってしまったわけです。今考えても最悪の登山でした。もう頭はクラクラ、なにも考えられる状態じゃなくて、とにかく早く降りたいだけでした。結局登り着けたのは半数の13名でした。
これは完全な失敗談。今から考えても恥ずかしい話なんですが、山のこと何にも知らない若者達が、ただがむしゃらに登ったお話です。
 さて、ではせっかくですから、その失敗談から20年たった遊び人の、富士登山のアドバイスです。
まず、夜どうし登るのはやめた方が賢明です。よほど体力があるか、そのために日中しっかり睡眠をとってるか、山登りの経験がしっかりあるか、そのいずれかでなければ、確実に苦しい登りになります。 一番いいのは、途中の山小屋に泊まる事です。前日出発し、夕方山小屋に泊まり、翌日の早い時間、たとえば3時とか4時頃に起きて登り始めれば、山頂でのご来光も見ることが出来ます。あるいはご来光は途中で見るときめて、5合目で仮眠をとって、夜明け前に登り始めるのもいいでしょう。
 私がその最悪の富士登山から数年後、同じような行程で同じような人数での登った富士山は、夜5合目についてすぐに登らず、車の中で仮眠を取って、夜明け前の3時頃に出発。前回と同じように20名前後の人数でしたが、すべて6〜7名の小グループに分けてすべてのグループにトランシーバーを持たせて絶えず現在地を報告しあって、けしてバラバラになることはせず、ペース配分もしっかり考えて、結局ご来光前に全員が山頂に到着しました。富士山初体験から2年後でしたが、たとえ2年間でも、その間に得た登山経験は無駄じゃなかったなあと、その時はつくづく感じました。

 さて、富士山に限らず、これから夏山シーズン本番です。
今年初めての山登りを計画している方、けっこう沢山いらっしゃると思います。それで、夏山情報の質問コーナーを設けようと思います。どんなご質問でも結構です。ご連絡下さい。

ご質問の連絡先です。
ハガキの場合は 〒238−0008 横須賀市大滝町2−20 FMブルー湘南 
FAXですと  0468−21−3511  川名 匡の山に遊ぶの係りまでです。よろしく。 

頂いたご質問は、この放送でお答えして行きたいと思います。また、放送時間の関係でお答え仕切れなかったご質問に関しても、すべてご返事するつもりです。どうぞ気軽に質問して下さい。よろしく。


7月8月と、夏の間はほとんどすべての週末が、山の予定で埋まっています。
また山遊びのご報告させてください。

一級遊び人:川名 匡 でした。ども




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