1997.12/10up

丹沢・水無川本谷

真夏の沢登り


水無川本谷b


期  日:1997年07月20日
メンバー:L川名/菅野/茅ノ間

07/20(日)天候:晴れ
横須賀0530→渋沢→大倉→戸沢出合〜(水無川本谷)〜新大日〜戸沢出合→小田原

 梅雨明け一番、久々の丹沢水無川本谷に行った。今回はいつものカンスケにカヤリン(茅ノ間)がくわわり3名での沢登りとなった。ザイルを使ってのリードや登擧用具一式、すべて二人に任せ、私はついて行くだけ(連れていってもらうだけ)の山行となった。こんなのもたまにはいい。いや、いつもこの方がいいかな? F1〜F2とそのまま登ってしまったが、F3でザイルを出す。私は見学。F5は高いがしっかりと大きなクサリが付いているので安心だ。F5をこえると、左から右へと登山道が横切っている。この登山道はこのあとセドノ沢の左俣の上部を横切って新大日のカイサク小屋にでるカイサク新道だ。ちょっと距離はあるが、とてもなだらかな登山道で時間があるときは下りに利用している。
 さて本谷だが、初心者コースが多い表丹沢の沢の中でも、さすがに他の沢より長くてそこそこ楽しめる。滝も一つ一つせめていけば結構強い。そんな滝の中で一番高いのがF8だ。水流はかぶっていて無理だが、左側の壁が登れそうな雰囲気だ。しかしガイドブックにも書いてあるとおりボロボロで登れない。でも今回、ちょっと試してみようと思い2メートルほど登ってみたのだが、やはり無理。ホールドというホールドがすべて、つかむと文字通りボロボロと崩れてしまう。その昔、何回か登っているので、その感覚で取り付いてみた。確かに昔からボロボロで、だましだまし登った記憶があるからだ。しかしだましだまし登った時より私の思いっきりが悪くなったのか?、臆病になったのか?、それともやはり昔よりボロボロになっているのか……?。おそらく私自身昔と今では感覚が違うと思うので、そのいずれかは分からないのだが……。ところで私の言う昔とは、私がまだ盛んに沢に来ていた頃、15年ほど前の事だ。やっぱり15年もたつと、岩もボロボロになるのかな?と言うことで今回は納得をする。(?)
 F8を右から大きく巻いてしばらくいくと、ちょっと隠れた感じでF9が現れる。滝自体は8メートルほどの大した高さでは無い滝なのだが、これがまた取り付くとけっこう手こずる。そして今回、うん……、10年ぶり位か、落ちてしまった。途中から下までだ。正規のルートは、左側から逆層の手がかりをつかんで、スリップしないように体を思いっきり外に出してかなり強引に抜けるルートだが、これ自体も結構いやらしい。それを今回は、何を血迷ったか真っ正面を登ってみようかという馬鹿な衝動にかられて取り付いてしまったのだ。今から思うと、先のF8を巻いてしまった欲求不満からそんな気持ちになったのかもしれない。しかもノーザイル。正面はやはり逆層の段付きの滝だ。ほとんどずぶぬれ状態で何とか乗っ越して、滝の上に片足をかけてフッと一息入れた時……、右足がズルッと滑った。後ろで見ていたカンスケは、「こりゃあダメだ」と思ったという。低いと行っても8メートル。階段状の滝の3分の2は登っていたから、落ちた距離は5メートル以上。しかもツルッと滑った瞬間ひっくり返り、私は頭が下になっていたという。勿論私はそんなこと覚えていないが、そのまま落ちていたら確実首の骨を折っていただろう。ところが、滑り落ちながら私は一回転して、結局尻餅をついて止まった。尻にいままで受けたことがない位の衝撃が走った。幸い、これも本当に幸いだったが、落ちた場所が平らな岩の上で、尖った岩とかが無い場所だった。落ちてる途中の記憶はまるっきりすっ飛んでいて、落ちた瞬間、その痛さと恥ずかしさでやはり頭の中が真っ白になった。二人になんでもない事を教える為にすぐに立ち上がった。(ホントはよくないな)見るとズボンの片側が数カ所すり切れていて、血が滲んでいたが、打ち身のみで骨には異常が無いようだ。ちゃんと立っていられる。そして左側の通常ルートに取り付いていた二人の後ろについた。腕もすり切れて血が滲んでいる。しかしなんかこう、アドレナリンがわき出てるような感じで、シャキッと目が覚めたような雰囲気だった。このときの感覚はどうもうまい表現が思い浮かばない。驚いて声もでない二人に、「大丈夫大丈夫」と声をかけてそのまま何事も無かったかのように通常ルートを登った。ちなみにその時、後続のパーティが二組いて、しっかり私の滑落を見学されていたが、ふと気がつくと、全員滝を巻いてしまったようで、誰もいなくなっていた。今から思うと、さぞかしビックリした事だろう。さて少し思い足をかばいながらそのまま詰めを登り、程なく表尾根の登山道付近にたどり着く。すぐ上に登山道を歩く登山者が見えるところで休憩。服が濡れているので全部着替えた。着替える時に尻をそっと見たら何とも言えない色になっていた。ての擦り傷で血が滲みあわれと思ったのだろう、先ほどの目撃者の後続パーティの方が消毒薬をくれた。我らはバンドエイド位しか持っていなかったのだ。消毒薬を塗り、絆創膏をペタペタ張り付けて応急処置をしたが、見た目痛々しい腕よりも実は尻の方が数倍痛かった。しばらく休み先ほど横切ったカイサク新道を下山。下山途中、携帯電話で松田に住むサオリン(加藤さん)に電話をかけたら運良く在宅中で、車で戸沢出合まで来てもらう事にした。大倉まで歩けない事は無いが、やはり有り難い。

 さて今回の反省点
その1.やはりノーザイルはよくない。大丈夫と思ってもザイルは付けよう。
その2.落ちたあとの飲み会はよくない。早く帰ろう。
 サオリンに迎えにきてもらってそのままドライブ。小田原のレゲエのお店でコロナで乾杯。尾てい骨を打っているらしくて、まっすぐ座っていられなかったけど、しっかりお酒は飲んだ。反省……(^^;。


 以上

川名 匡(写真と文) 

水無川本谷2
水無川本谷3
水無川本谷4

[Copyright(c) 1997 by Tadashi Kawana]


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